物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室 |
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「物語の作り方」のケーススタディとして取り上げるなら可、 あるいは、 初稿を書き終えた後のチェックシートとして再読するなら可、 あるいは、 実作に取り組みたい人が前向きになれる後押しの書としてなら可、 一方で、 すぐ実践できる「物語の作り方」を知りたい人にとっては不可、 シナリオの書き方について知りたい人にとっては不可、 さらには、 ガルシア=マルケスの小説が好きな人にとっては可もなく不可もなく、 といったところでしょうか。 とはいえ、シナリオを書く上で肝に命じておきたい一家言も 随所に見られます。手許に置きたい1冊。 ガルシア=マルケスさんと実際のドラマ(物語)作りの記録。会話ばかりで進むあまりできのよくない小説のようだった。 というのが何年も前に読んだ時の感想でした。 最近になって、前読んだ事を忘れて読み出してしまったのですが、そうしてみるとわかるようになっていました。その理由というのは恐らく前読んだ時にはしていなかったアイデアを出すための議論というのを社会に出てするようになったからだと思います。 できれば自分がもしここにいたらどう感じるか、どう話を作るかと考えながら読んでもらうといいと思います。 ガブリエル・ガルシア・マルケスが主催するキューバのシナリオ教室で 生徒との会話を収録したものです。 30分のテレビドラマのシナリオを生徒(と言ってもたいていは脚本家 またはその卵たち)一人一人に書かせて、それをたたき台にしてワーク ショップで練り上げていくのですが、その物語が徐々に紡がれていく過 程はなかなか面白いです。 できあがったシナリオをテレビ局などに売って学校の運営資金の一部と する仕組みはうまいアイデアです。 それにしてもマルケスは場をコントロールするのがうまい。「朝まで」 会話形式で議論が進んでいるので臨場感があります。 反面、議論が停滞してる個所では、イライラ感も味わう。しかし、不思議なことにガボ(ガルシア・マルケス)が加わった途端、物語に意味付けがされたり、活き活きと人物が動き出したりするので思わず「おー」と感心。彼に言わせると「君達は真面目すぎるんだ」だそう。ナルホド。物語は非日常なのだから、そんなに真面目すぎちゃ面白くないよ、という事でしょう。 星が他の方と違って少なめなのは、物語の作り方というより、物語の広げ方の方が題名として正しい気がしたのと、小説家のように個人で物語を構築する人には向かないよー、という忠告です。そこの、小説家志望のあなた。あなたに向けて書きました。 この本は、ガブリエル・ガルシア=マルケスがリーダとなり、ブレーンストーミングっぽい形式で、ライター連中があーだ、こーだとシナリオをこさえていくワークショップの録音記録みたいなものなのだが、読んでいて、ラテンの作家連中ってのはこんなにポンポンとアイディアが出てくるものなのか? といった疑いの念が先行してしまった。まあ、そこはガブリエル・ガルシア=マルケスを取り巻く連中なので、そんなもんなのだろうと思い、一度読み終えた後、今度は紙と鉛筆を手に、この連中の中に参加できるかどうか、挑戦を試みた。 結果・・・惨敗。 誰かが話し出すアイディアをメモってイメージするだけでも膨大な量になってしまい、とても「イマジネーションをかき立てられる」だの「インスパイアされる」だのの状態にはほど遠く、進級/落第のかかった補習授業の板書メモ状態にしかならなかった。ま、それで当たり前なのだが。ただ読んで感心するだけでも面白いが、身の程知らずにも挑戦を試みて、砕け散る楽しみも味わえるということで、星5つ。 聞く人の心をつかみ、揺さぶる物語はどうやって作られるのか。何千年ものあいだ物語を求めつづけてきた人類にとって、普遍のテーマと言っていい。現代でも作家や脚本家はもちろん、魅力的なストーリーを作り出すことへの欲求は多くの人が潜在的に抱いているはずだ。 『百年の孤独』、『族長の秋』などで知られるラテンアメリカ文学の巨人ガルシア=マルケスは、映画脚本にも手を染めている。その彼がキューバにある映画学校で、脚本家やその卵、映画監督たちと交わした議論を活字化したのが本書。自在に交わされる対話を追ううち、読者は物語の誕生と変質という摩訶不思議な瞬間に立ち会うこととなる。 ディスカッションはおおむね次のように進行する。テレビドラマ化を念頭において、生徒ひとりひとりがストーリーを披露、これに対してガルシア=マルケス(愛称の「ガボ」で登場)やほかの人々が意見を述べ、検討を加える。このプロセスを経るうち、物語はしばしば思わぬ方向へ変化していく。たとえば、バイオリン奏者である夫の挙動に不審を抱く妻が、彼の正体はテロリストだと知るストーリーのはずが、ふとした拍子に彼女のほうがテロリストという設定になっている。または悲劇のつもりで進めていたラブストーリーが、いつの間にかコメディーとしてまとまることもある。 この議論を導き、精彩を与えるのはやはり「ガボ」である。提示された物語を糸口に独自のイメージをあふれさせ、惜しげもなく皆の前に投げ出す。かと思うとユーモアたっぷりに生徒を刺激し、ときには創作の本質に触れる言葉を口にする。巨人の存在感に今さらながら圧倒される思いだ。 この教室で議論され、練り上げられるのは単なる紙上のストーリーではない。まさに、生れ落ち、成長していく生きものなのだ。じつは、それこそが物語の本質と言えるのかもしれない。ガルシア=マルケスの愛読者のみならず、物語に魅かれるすべての人に本書は開かれている。そして人間に物語が与えられた喜びを、あらためてかみしめることになるだろう。(大滝浩太郎) 物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室を楽天で検索 |