集団的自衛権とは何か (岩波新書)

集団的自衛権とは何か (岩波新書)

売れ筋ランキング集団的自衛権とは何か (岩波新書)  
集団的自衛権とは何か (岩波新書)

集団的自衛権とは何か (岩波新書)


価格:¥ 819(税込)
岩波書店  (2007-07)
/豊下 楢彦/
新書 242ページ
売れ筋ランキング:53559
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 予てより、集団的自衛権なるものを日本が持っていないことに対する理不尽さを感じていたので、もう少しこのことを知ってみたいと思って読んだ。
 読後感を一言でいうと、読む前には、是非とも集団的自衛権を持たなければならないという、はやるような気持ちであったものが、少しは沈静化した。著者の論理的な思考がそうさせたのだと思う。
 先制攻撃を旨とするブッシュ・ドクトリンやイスラエルのオシラク空爆の引用、英国のようにアメリカと肩を並べることの出来る関係を築くためには集団的自衛権の行使が必要であるという安倍元首相の談話に対する批判など、具体的な事例と過去の歴史をひいての記述は説得力があり、なかなか読み応えがある。
 そして、集団的自衛権の行使は日本国憲法を変えない限り不可能であり、また日本国憲法を変える必要はない、という著者の主張もよくわかった。
 このような著者の論理に対しては、私としては反論するべき材料がないのでなんとも言い難いが(或いは著者の主張は論理的に正しいのだろう)、一方で核を保有している北朝鮮、軍備を増強している中国、という現実が厳然としてあるわけで、日本国憲法の制約と隣国の核や軍事力の脅威に対する臨機応変策はないものか、と模索したい思いである。即ち、大局的には集団的自衛権の行使については国家の問題として熟慮した上での決定がなければならないが、局部的な対応には速やかに対処すべきではないか、と考えるものである。私の言う局部的とは、例えば、アメリカとの訓練中にアメリカ艦船が襲われたときの共同での反撃とか、日本の軍事管理内をミサイルが通過してアメリカを攻撃したときの撃墜、などである。
 著者と私との間には考えに隔たりがあることを感じたが、それでもこういうことを考える機会を与えてくれたことは、この本のおかげである。多くの人がこの本を読んで集団的自衛権や日本国憲法を考えてもらいたいと思った。
 
「集団的自衛権」は何なのだろうか。本書を読めばわかりやすく解説されているのですらすらと知識を得ることができるであろう。
しかし、この「集団的自衛権」を憲法上で解釈してもこれを主張することが非常に難しい。私自身、この「集団的自衛権」を行使すべく憲法改正は行うべきだと考えるが、防衛省がこの「国際貢献」を為すためにイラクへの給油を行っていたのではないだろうか(実際転用疑惑もあるけど)。この「集団的自衛権」が言い出し始めた、というより話題となったのが「イラク戦争」でしょうか。たしか記憶によれば2004年秋ごろに陸上自衛隊がイラクのサマワに派遣されたというのがありましたね。
しかし著者は、偏りはあるものの実証に基づき「検証」を行っているため非常に中立的・中道的な解釈を行っているように感じた。しかし第6章については別。ものすごい持論を持ち出したなぁ、と思った。いやはやすごい一冊である。
本書を書くに当たって著者が念頭に置いているのは、いわゆる「俗論」というヤツである。一見「常識」のようでありながら、実はその根拠がよくわからない政治的主張。典型は、本書でもしばしば言及される安倍晋三のそれであるが、そのような「俗論」を吐くのは政治家とは限らない。おそらく、著者が日々前にしているであろう学生などにも、「集団的自衛権は自然権のごとく行使できて当然のものではないのか」「日米安保体制の片務性を克服すべきなのは当然だ」「ミサイル防衛システムを整備して何が問題なのか」といった意見を持っている者は多くいる。

著者は、豊富で着実な実証から導き出される繊細なロジックに基づいて、そうした「俗論」を検証し、一つ一つ反駁していく。この丁寧な叙述の過程には、外交史家たる著者の面目躍如を見ることができよう。さらに、繊細なロジックは、こうした反駁にとどまることがない。最も長い第6章においてそれは、「日本外交のオルタナティブ」というチャレンジングなテーマへ切り込むための刀ともなる。実証に堕することないこの挑戦的試論の大胆さを前にしては、著者に対する敬服の念を評者は禁じ得ない。
憲法や国際政治・外交の問題を扱う上で非常に重要となってくる「集団的自衛権」を、現在の日本の体制の成り立ちをふまえて解説するもので、上手にまとめられている良書。

学生時代に著者の国際政治の講義を受講していたが、途轍もなく熱心に講義をする方で、非常に有意義であった。
学生の間では少し偏った思想の持ち主だという風な評もあったが、本書に限っては様々な資料を引用しながら、冷静且つ綿密に論理を組み立てているように思われる。

国際政治上の日本のポジションについて興味を持っている人には間違いなくお勧めできる一冊。

<仮に、報復攻撃を無意味とし、自らが壊滅することを覚悟して、
北朝鮮が保持するノドンのすべてをもって攻撃してくる場合を想定するならば、
日本海沿いの原子力発電所が最大のターゲットとして狙われることになるであろう。>
<二〇〇六年度の資源エネルギー庁の「原子力広報ページ」によれば、
「原子力発電所に対するミサイルなどの兵器による攻撃についての設計基準は設けられておりません」とのことである。
さらに同年末の経済産業省の「有事における原子力施設防護対策懇談会報告書」によれば、
「弾道ミサイルに有効に対処し得るシステムは未整備」と明記されている。>

<「日本に展開するアメリカの空軍、海軍、
海兵隊の航空機(戦闘機や攻撃機)のうち防空任務についているものは一機もありません。(小川和久著『日本の戦争力』)>

外交的選択肢の貧しさ・・・米国ベッタリのツケ。
<集団的自衛権は日本の場合、具体的には米国との「共通敵」の存在を前提とする>
<米国による「敵」の設定は、たえず変動する>という状況下、彼我の力関係から言って、
<日本は"はしごを外され"振り回される>ことに終始せざるを得ないとのこと。

鈴木宗男・佐藤優 共著『反省 私たちはなぜ失敗したのか』で
紹介された日本の外交官の酒池肉林ぶりを併読すれば、然もありなん・・・と納得する次第。
スキャンダルを叩くことが、高級官僚のやる気を殺ぎ、やがて、国全体に厭世観を蔓延させ、国力を衰退させていく、という教えに首肯する一方、
スキャンダルを等閑視した高級官僚の無責任体制に対する不本意感もぬぐえるものではない・・・ 恐るべし! 自己言及せざる高級官僚なるものよ!!
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