現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉 (講談社現代新書)

現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉 (講談社現代新書)

売れ筋ランキング現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉 (講談社現代新書)  
現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉 (講談社現代新書)

現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉 (講談社現代新書)


価格:¥ 777(税込)
講談社  (2006-11-17)
/五十嵐 太郎/
新書 269ページ
売れ筋ランキング:83046
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 建築を知らない人も興味を持てる一冊。

 「現代建築に関する16章」とタイトルにある通り、客観的な視点と比喩・比較が
章ごとに重ねられてゆく。例えば、「形態と機能」「全体と部分」と本文にあるように、
部分で取り上げながら、時代とその背景が展開されてゆく。

 著者に建築以外の情報も多く、ひとつから全体を、全体からひとつを、というような
奥行きと広がりを感じる。なんといってもわかりやすく、情報を伝えるという観点に絞
られた内容の文章。
建築に関するさまざまな対立的なモデルが紹介されている.ロバート・ヴェンチューリの「あひる」と「装飾された部屋」,青木淳の「原っぱ」と「遊園地」,モデルとはいえないが「斜線」と「スロープ」,クロード・レヴィストロースの「近代的な科学者」と「器用人 (ブリコラージュのひと)」,エリック・レイモンドの「伽藍」と「バザール」,男性原理と女性原理,白井晟一の「弥生的なもの」と「縄文的なもの」,ブルーノ・タウトの「伊勢・桂」と「日光東照宮」あるいは「天皇的」と「将軍的」,伊藤忠太と岸田日出刀の「神社」と「仏教」,丹下健三などにおける「大衆的」と「貴族的」等々.本のなかばまでひろいあげてきたが,書ききれないほどである.

著者はこうしたさまざまな対立概念をたてて建築を分節していく.とても,めざましい.しかし,あまりに密度がたかすぎて,軽いきもちで新書をよみはじめた読者にはなかなかついていけず,散漫な印象をあたえてしまうともいえるだろう.

本書の手段はタイトルにもあるように、現代建築です。日本の建築家も丹下、磯崎といった大御所から、中堅の隈、伊東、それに若手まで扱われています。それらについていきなり書き始めるのではなく、建築史上の謎や、オウムのような社会問題などから書き起こしているので、非常に入りやすいのではないかと思います。

歴史の話から、あるいは時事問題から、様々な話題から現代建築へと議論が展開されていくあり方は、著者の文章力とあいまって、大変読みやすい。

また、著者自身の撮影による写真もふんだんに掲載されていて、話の内容がビジュアルなイメージとしてもよく伝わってきます。

読み終わったあとで、洗練された建築論を少し身につけたな、と思える良書だと思います。
 建築に関するあれこれということで、各章の関連は希薄だが、現在の建築動向が語られている。話題としては、個別の建築、巨大建築、都市設計、時間・空間とのかかわりとしだいに大きくなっていくように思える。

 自宅の維持管理に役に立つ情報をと期待していたのだが、個人住宅は範囲から外れていたようだ。ビル全体を巨大スクリーンにするような話も出てくるが、自分の家の外壁をスクリーンで囲うなどはやりたくないので、本の主題からはずいぶんとずれてしまった。
 ともあれ、都市空間がどのように創造されるか、また時代認識の反映のされ方など、生活者として興味深い話題も多い。意外に建築は時代の後を追っているようなところがあるという印象を受けた。建築は具体性を要求されることからそのような結果になってくるのだろう。建築は設計者の現実認識の結果を強く反映しているようだ。
現代において建築史を学問的に正当な視点から記述することの難しさを知悉した著者が、建築史家として鋭意努力している現状と問題意識を精緻にして平明に語った1冊である。知名度のある建築家の新作が竣工するたびに国内外を飛び回り、作品を現地で具に時空間を体験する、誠に正当な努力を惜しまない歴史家であり、批評家である。
何事も実物のリアリティを知らずしては、批評の対象にはなりえず、況や歴史学の対象にはなりえない。その歴史学的困難な時代を、歴史家として生き抜く使命を軽やかなフットワークで乗り越えようとする日々の研鑽から得た知見の数々を16章にわたって解き明かす。ことに建築史の存在意義を薄れつつある現代において、<教養としての建築>が日本では崩壊し(日本の教育が崩壊した所産に過ぎない)、大学においてすら「現在は、歴史と批評が分断されています。アカデミックな現場では、そういう方向性が強いので、通史が困難になっています。」(p.177)と語る。にもかかわらず、歴史と批評のために、建築家の営為を同時代者として書き留めるため、北朝鮮やイランなど旅行しにくい地域をも含めて精力的に現地を訪ねる。この直向さで得られた知見を介して、16章のテーマが選ばれている。それらのテーマで、特筆すべきは「情報」、「メディア」、「透明性と映像性」と通史でも扱われてきた視点が、現代に併せた用語に変換してまとめあげる。建築の全体像をバランスをもって知りぬいた著者ならではの観点が活きている、というべきか。講義風の研究ノートともいうべき1冊で、語り口は軽いが重要な史的かつ方法論的糸口を随所にちりばめた味読に耐えうるレクチャー・シリーズである。
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