中世再考 (講談社学術文庫) |
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高校までの歴史の授業で、私が抱いた普遍的日本像としては、 ■日本は単一民族国家である。 ■日本人は農耕民族である。 などが挙げられる。 また、江戸時代あたりまでは ■時の権力者は絶対的権力を行使出来た。 ■農民や漁民は不自由で貧しい生活を送っていた。 などと言う思い込みをしていたと思う。 子供の頃に刷り込まれたイメージを払拭するのは意外に難しいので、上記のような日本を無意識のうちに思い描いてしまう人は未だに多いと思うが、そう言う人にお薦め出来る一冊である。本書は1980年代前半までの小論や講演記録を収めたものなので、内容的には決して新しくないが、おもしろそうなところだけ拾い読みしても、学校教育で知ることのなかった日本の一面が発見出来ると思う。 宮台真司氏の網野史観への批判である「楽天的ロマンティシズム」というのはあながち的をはずしてはいまい。ただし、それまでの「悲観的」に流れるきらいのあった、「日本」および「中世」への網野義彦のまなざしが優しく、しかも力強く、それゆえとても魅力的だったことは間違いない。 網野氏が提起した問題の検証をさらに進めていくことが重要なことであり、この本の中身は最終結論の押し付けではない。やはり、それまで「定説」化され、硬直した「表・裏日本」「単一民族幻想」「差別」への議論の幅を広げた功績はやはり大きいのではないか。 いささか、プチ権威になった印象を脱ぐいいきれないものの、「大権威」の頑迷さの方がより問題なんだから、そこはひとまず置いておこう。 中世再考 (講談社学術文庫)を楽天で検索 |