暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

売れ筋ランキング暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)  
暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)


価格:¥ 1,000(税込)
講談社  (1994-06)
/島田 荘司/
文庫 680ページ
売れ筋ランキング:58368
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 『アトポス』以降、全く、島田荘司氏からは、遠のいている自分ですが、『占星術』〜『アトポス』までの初期御手洗モノのなかでは、これが一押しです。
 作品の中心にそびえ立つ「人喰いの木」のイメージが圧倒的です。トリックよりも犯人よりもこの圧倒的なイメージがいい・・・島田荘司氏の脳内妄想が炸裂しています。
 島田氏の「本格ミステリ論」(なによりも幻想的な謎が重要)には、同調すべき点が多いのですが、実作を読むと不満が多い。謎を解体していく過程に必然性が弱い。古くさい言い方をするなら「人間」が描けていない。別に純文学的な「人間」を期待してはいない。ただ、謎が解明された際「犯人」の人間性が浮かび上がってくるのは重要ではないか?とは考えています。ようするに「トリック」と「犯人」が密接に結びついているいるかという点・・・・「こんな大掛かりことを普通は、しませんよ・・・いや、こういう人なら、こういう状況ならやっても不思議ではない。いや、やるのでは!!」と読者に思わせる事が重要ではないかという事。そうした視点で見ると『暗闇坂の人喰いの木 』も不満は多い。ご多分に漏れず、犯人の印象が薄い。御手洗や今後のシリーズで何度もでてくるかの人が大いにキャラ立ちしているのをみるにつけ、なんで犯人の印象が薄いが不思議なくらい。犯人の印象が薄いということは、裏を返せば、ミステリに重要な「意外な犯人」というファクターも弱いということにも繋がる訳です。読者に強烈なイメージがあるからこそ、その人が犯人だったと知ったとき「意外性」が浮かび上がってくる筈で、自分はこうした小説上の構成をミステリで「人間」を描くと考えるからです。多くのファンを敵に回すこと承知でいうなら、パズラーを書く才能が「島田荘司」には欠けているのでは・・・と思いたくもなる。

 では、「暗闇坂の人喰いの木」は、つまらないのか?いや、とんでもない。つまらないどころか恐るべき作品なのです。パズラーとしては、不満があっても、『人喰いの木』に翻弄された人々の話とみれば、これほど面白いお話も早々あるものではない。木に食べられたとしか思えない事件の数々、イングランドの巨人の家の謎、そして最後に明かされる恐るべき真実・・・本格ミステリ風「冒険怪奇談」とみるなら、最高の出来でしょう。トリックよりも犯人よりも「人喰いの木」がそびえたつ・・・このイメージ。「人喰いの木」は、「島田荘司」の何かしらを象徴しているのでは・・と思いたくもなる傑作です。
この作品の魅力は本格推理物としての面と「人喰いの木」というキャラクターを基においた横溝正史ばりの、数十年続くどろどろとした謎によるホラー面の二つに分かれると思うが、本格推理物としては偶然に頼りすぎ。あれでは納得しない読者も多いかと思う。ホラー小説に特化してシリアルキラーの異常性に重点を置いた方が良かったと思う。作品中に登場するシリアルキラーの描写はなかなか良く、恐ろしい。
この作者の全作品中で、最も怪奇趣味にあふれる作品だとい思いました。まず、暗闇坂という舞台がすごくいい!じっさいに、横浜あたりにあるらしいですねこの町名は。そこに佇む樹齢2000年とかいう木がこわ〜〜いです。おまけにこの木は人を喰うとか言われてて、昔に実際少女を喰ったという事件も地元で伝わってるということで、手洗が現在の事件とその少女喰い事件も同時に解いちゃうということで。ところがです、現在の事件に関しては、相当無理がある。動機はまだわかるけど、犯人とその行動がありえない!おまえにそんな行動は取れません!というツッコミをしちゃいます、。あと、屋根に跨ってた死体も、それが偶然の産物であって、なんら形に必然性がなかったのも、本格ミステリーとしては今一歩とうレベルでしょう!!それに、そういう経過で跨ることになったなら、死体にもっと傷がつくはずだろ?少なくとも尻のあたりはなんか痕跡ができるはずだぞぉ〜〜。それが綺麗さっぱりだったとはありえない!!次男のほざく世界処刑巡りの旅が凄く良かったです!いやぁー人間ってほんと残酷なもんですねぇー!それでわ!!
かなり長いのだが、長さを感じさせず一気に読めます。過去と現在の殺人をうまくからめ、過去の犯罪はちょっと現実的でない大仕掛けであり、現在の犯罪は従来のような頭の良い犯人がトリックを駆使するのでなく、偶然に偶然が重なっての犯行という、犯人がほとんど普通の人なのが、新鮮。というかこういうのもありかなという感じです。逆にリアリティがあります。そういう意味では推理小説らしくはないが、オカルト要素や異常性癖者などが書かれていて、実に巧みな話作りとなっています。しかし「占星術殺人事件」でもそうですが、作者は現在の日本では緻密なトリックを駆使した天才的犯罪は成り立たないと考えているみたいな気がします。かならず過去か偶然で話作りをしています。そういう意味でも現実的な人なのでしょう。作品の最終的なテーマである、異常者の遺伝子は遺伝されるか?という疑問は、古き世では、遺伝すると信じられるが、現代社会では遺伝されない、悪い事をして遺伝だと決め付けるのは本人の意思の弱さだとなるでしょう。しかし、人間の性格というのは意思で変えられるようで、実際は精神という漠然とした詩的な物など存在せず、遺伝子の作りできまってしまっているという考えも出来、つまり人間はロボットみたいなものですね。これはいまだ解明されないテーマですが後者の答えだと、ヒロインのレオナに救いがなくなるので、島田荘司はこれからも登場するかも知れないヒロインに重大なバックボーンを付けてしまったぞ。これからの作品を読む時に観るべき点が増えて面白いのだが。
日本が誇るべきNo.1のミステリー・キャラクター、『御手洗潔』とその相棒石岡君の第3作。後の重要なキャラクターにして島田氏の理想の女性像?((●^o^●))、レオナが登場する重要な作品だ。並列して発動するストーリーが最後に一つに連環し、ちりばめられた恐怖が一挙にリンクする素晴らしいプロットだ。そのストーリー構成の斬新さが光っている。

『異邦の騎士』はチック・コリアの『浪漫の騎士』をiPodに入れて読了したが、本作にぴったりなのはピェール・ブレーズ指揮、H・ピラルツィク(朗唱)、ドメーヌ・ミュジカール・アンサンブルのシェーンベルクの『月に憑かれたピエロ』だ。こいつをiPodに入れて読了したがホントに怖かった・・。

もうひとつ特筆したいのは全作品の中で最も御手洗が口走るセリフが光っている。特に御手洗の女性観は作者の女性観でもあるのだろうが本質をついていて実に鋭い。『異邦の騎士』と並んで氏の作品で最も好きな作品の一つだ。


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