国家情報戦略 (講談社+α新書) |
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政治、軍事、経済において大きな力を持つ国家情報(インテリジェンス)。日韓インテリジェンスの第一人者が、友好国間のインテリジェンス協力、政治とインテリジェンスの関係、さらには核、北朝鮮、日本の未来をも論じた対談集です。 各国の諜報機関や六カ国協議の裏の目的など、新聞を読んでいるだけではわからないことが、第一線の情報分析官の実体験に裏打ちされた思索から読み解かれています。 インテリジェンスとして活躍しながらも国策捜査に巻き込まれた2人による、インテリジェンス雑談集。 雑談集ではあるが、その内容には通常知りえぬ興味深い話が多く、一気に読みきってしまった。エシュロンや偵察機、盗聴器などのインテリジェンスを支えるハードウエアの性能が想像以上に進んでいること、北朝鮮のインテリジェンスが非常に高水準であり、韓国の大統領選挙を左右するような情報操作が行われていることなど、現在進行形のニュースの裏側を垣間見ることができる。また、歴史上の大イベントについてもインテリジェンスの目線からの考察があり、2時間たっぷりと楽しませてもらった。 他のレヴュアーの方の意見にもあったが 「濃厚な」佐藤優の著作群にあって本書は比較的薄味である。勿論 「薄味」は「薄味」なりに味わいがある。 本書は 日本人と韓国人が お互いの国に軸足を置いた上で語り合うインテリジェンス論である。日本と韓国の関係が そもそも微妙であるわけであり その辺で お互いの話し方にもオブラートに包まれたものがあると僕は感じた。 これは日本と韓国の間の歴史という切り口だけではなく そもそも地政学的に隣接している二つの国は それだけで微妙であるであろうという僕の理解である。 それが「薄味」の出汁なのだと思った。 そんな二人だけに 日本と韓国以外の国に関しては 議論に勢いが出てくる。本書の「仮想敵国」としては まずは北朝鮮ということになるかと思うが 韓国のインテリジェンスの立場で披露される「見立て」は中々勉強になった。 また 北朝鮮を挟んで語られるロシアも興味深く読めた。特に正教会を切り口としてロシアが北朝鮮と交渉しているという説明は 神学校を卒業した佐藤ならではの視点である。僕は 佐藤の本が非常に新鮮なのは 何より彼が宗教を使って現実世界を読み解く点にあると思う。これは宗教を忘れている日本人には 中々見えてこないからだ。 インテリジェンスは、怖い。そしてそれゆえ、恐ろしいほど魅惑的だ。 日韓における屈指のインテリジェンス・オフィサー同士の対談は、凄味のある蠱惑に満ちている。 両者ともに、切れ者であるがゆえに「国に裏切られた」情報士官であるとは、なんという巡り合わせか。 そもそも、インテリジェンスというものは「国益」という徹頭徹尾利己的なものをめぐって行われるものでがゆえに、 「お前が利己的であるということだけは信頼できる」という逆説的な公理が成り立つ。 その逆説が徹底したところが、陸軍中野学校が言う「謀略は誠なり」となるのだろう。 ワクワクするほど面白く、ドキドキするほど怖い。こんな本は、本当に久しぶりである。 インテリジェンスの最前線で活躍し国家の罠にはまった共著者二人が経験を語り、国家におけるインテリジェンスがなぜ必要か、過去の逸話や各国の現状況を例示しながら熱く語っているところに強く惹き込まれる。北朝鮮のインテリジェンス要員養成が日本陸軍「中野学校」を模倣しているとは驚きである。私にとっては国家の情報力、国家情報戦略がなぜ必要かを理解するための入門書となった。スパイには裸の大国ニッポンなのか。さらに、「核の帝国主義時代」のスタートという警鐘は世界を読み解くキーワードとなった。 国家情報戦略 (講談社+α新書)を楽天で検索 |