せちやん 星を聴く人 (講談社文庫) |
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読んでいて、ある種の懐かしさと同時に、切なさばかりが去来した。 色々なものが、もう取り返しがつかないと思った。 まだなんとかなるんじゃないか、とか、言い聞かせようとしたけど、やはり無駄だった。 そんなばかり感傷がつきまとう。 あの頃は、この身のすぐ近くに暖かな何かが息づいているのを、ごく簡単に、あんなにも近くに感じていられた。けれど、あの頃からすでに僕らは互いに分かたれて、急速に遠退いて離れ離れになって行ってしまっていた。 執り返そうにも、それらはもはや手の届かない過去になり、感傷になり、後悔になった。 気づかないふりをしていただけなのだ。本当は、ずっと前から分かっていたのかもしれない。 気がついたら、孤独がいつも、すぐそこにあった。 眠れない夜に、この本を読むことだけはおすすめしない。 中学1年の「ぼく」は友人のクボキ、やっちゃんとともに学校の裏山でパラボラアンテナを備えた奇妙なあばら屋を発見する。 そこに住む世捨て人の中年男「せちやん」と仲良くなった3人は、天文、宇宙の音楽、文学についてはからずもせちやんから学んでいく。 裏表紙の短いあらすじを読んだときは、天文にかこつけたファンタジー小説かと思いました。不思議な男の指導で少年たちが宇宙を覗いているうちに、 本当に宇宙人に出会うという…。ところが、蓋を開けてみると、これは紛れもない人間小説。少年の頃の夢や思い出を引きずりながら、 時代の波にのまれ吐き出されていった「ぼく」の物語でした。 宇宙からのメッセージと、それを馬鹿みたいに探し続ける人の哀切を描いた小説です。人の深さや儚さを叩きつけられます。 また、観測についてかなり専門的な内容にも触れてあり、著者の取材力の高さを思わせました。 胸の奥がヒリヒリする。 子供時代、無限の可能性を信じていた。少しずつ大人になり 現実を知ることで、その可能性をひとつずつ塗りつぶしていった。 世界が拡がるにつれ 身に沁みて感じるのは、いかに人間が小さく孤独であるか ということ。 それゆえに求め合い、役割を演じようとすること。 込み上げるやるせなさと 切なさが 痛い。 その中に ほんの少し懐かしさが混じるのは、大人になったから?! 川端氏のファンには ”リスクテイカー”や”The S.O.U.P.”が隠し味として少々。 お子様お断り!! 大人のための小説です。 せちやん 星を聴く人 (講談社文庫)を楽天で検索 |