象のブランコ―とうちゃんと (集英社文庫) |
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「のはらうた」や「てつがくのライオン」などで生き生きとした世界に いざなってくれる工藤直子さんですが、生い立ちについて私は全く知りませんでした。 「とうちゃん」……なんと心地よい響きなのでしょう。 とうちゃんは工藤さんのことを「ナコペン」と呼んでいらっしゃったとのこと。 実は私の父も、小さかった私のことを父しか口にしない呼び方で呼んでくれていたことを思い出しました。 少女時代のご自分の歌声を「♯※?¥○▽◇∞!」で表しているのもユニークでした。 著者がほとんど「とうちゃん」と二人きりで亜熱帯の台湾で過ごした少女時代から、父の死後中学時代から段ボール箱に書き溜めた文章を詩集として発表するまでを書いたエッセイ。 それまでも児童書で作品を見かけたことはありましたが、昨年初めてこの作品を読んでたちまち工藤直子のファンになりました。 詩人であり童話作家でもある彼女の操る言葉も非凡ながら、「とうちゃん」と物心つく前に生母を亡くした彼女が父の再婚で出会った「かあちゃん」、この二人の存在そのものが素晴らしいと思えるのは彼女の筆のなす技だけではないでしょう。この「とうちゃん」の許なら著者の卓越した語感が育まれたことにも肯けます。 解説の江國香織がこの本に閉じ込められているのはビビッドな「時間」という風に表現していますが、彼女の台湾時代唯一の友人ともいえるソウイチロウくんとの逸話など思わず笑ってしまう箇所も多々あり印象深い本。読んでいて今にも「とうちゃん」の歌声や「かあちゃん」の笑い声が聞こえてきそうに感じます。「とうちゃん」の和製外国語もどきのセンスには脱帽というしかありません。 詩集『こどものころにみた空は』を読んでいると、彼女自身の子ども時代ではないかと思えるものがいくつかあって、両方合わせて読むとまた違った感想があると思います。 児童書とか詩集はちょっと手に取りにくい、と思う方は是非、このエッセイを読んでみて下さい。 象のブランコ―とうちゃんと (集英社文庫)を楽天で検索 |