大和路・信濃路 (新潮文庫) |
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奈良を訪れた旅行記は数あるわけだが 個人的には 堀辰雄の この作品がもっとも好きである。 堀辰雄というと 軽井沢を舞台にした「風立ちぬ」等で 少々甘ったるい作家と言う評価になってしまうかもしれないが ある程度まとめて堀を読んでみると それなりの苦味も感じられて 面白い。 そんな中で 本作品は奈良訪問記であるわけだが エッセイストとしての堀の 手さばきの確かさが しっかり分る作品である。堀はいつもの通り 幾分感傷的な心で 奈良をうろうろしているわけだが うろうろ具合にも 堀らしい嗜好が散見されて好ましいと感じる。だいたい 奈良を旅行すること自体 誰でも幾分感傷になるわけでもあり その意味でマッチしていると思う次第である。
現在、全集が絶版となっている状況なので、新潮文庫から出ている六冊からなるこのシリーズが手っ取り早く堀の全貌に迫れる近道なのですが、なかでもこの「大和路・信濃路」は彼のエッセイが収められているので、一番素顔に迫れるような気がします。丁度、興味を持った小説と同時代に書かれたエッセイを読むのがいいでしょう。私も随分と参考にしました。 大和路・信濃路 (新潮文庫)を楽天で検索 |