働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫) |
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「随分偏った内容で整理されていないまま、よく出版できたな」という、正直な感想です。社会を受け入れて生きていくという強さを提示するにしては、理不尽な出来事への掘り下げ方が一面的だと感じます。タイトルとは全く違い、自分自身が何に対しても感謝出来ないような、精神的に追い込まれた状況にある読者が、よむべき本ではないように思いました。著者を深く理解しようと掘り下げる読者ならまだしも、タイトルから素直に救いを想像してこの本を手に取るのなら、私は、まるで足を縺れさせる罠のような気さえしてしまいます。ものすごくパラドックスを理解し整理されていないままの内容と思いました。 この本を読むと、そうなんだよ!と共感を覚える所が多く、この人エスパーで、俺の心読んでんじゃねーの?と思った。 この本は、悩んでる人に気づかなかったもう一つの道を教えてくれる。だけど、その道は今いる場所より苦しみに満ちていて、苦しみから解放されたい人には、全然救いにならないような気がしてならない。だけど、苦しみぬいてその道を歩いて行く事は価値のある事だと素直に思える本です。 仕事に生きがいを見出せない主要因として、世の中の「理不尽」に耐えられないことが挙げられていた。「理不尽」の詳細を議論した上で、「理不尽」を自覚すること・無視しないことが大切であると言及していた。これらを踏まえ、人生において大事な仕事は、「具体的に何かをすることでなく、生きることそのものを常に優位におくこと(仕事を通じて自らを完成させていくこと)」であるとしていた。 本書は、20代から50代までの著者分身を設定し、著者との対話形式という形で話が進められていた。その対話の中で、仕事に対する固定観念の再考を促すような具体的記述が随所にみられ、自分の仕事に対する考え方を見直すきっかけが得られたのはよかったと思う。 結局何なんだ?と思うこともあるけれど、時々読み返したくなる不思議な本。この人の本はみんなそうである、私にとっては。読み返すと言ってもはじめから全て読み返していたらついていけない。と、言うことでホッとするところにアンダーラインを引いて、自分がガクンと落ち込んだ時その箇所だけ読み返している。 よく読み返すところは、著者が予備校講師を辞めて単身ウィーンに飛ぶ場面。予備校でたった2年だけしか働いてないのだが、著者は「予備校で2年余り働いたことが私を鍛えてくれた」という。正直言ってビックリ。たった2年の、しかも様々な拘束が圧倒的に少ない予備校教師の2年間の労働がそんなに自信になるのだろうか?と。著者はさらにこうも言う。「ここ(予備校)は自分の居場所ではないと言う思いはどんなにごまかしてもわき上がってきた」と。「体は頭以上のことを知っている」とも。とてもわかる気がする。 著者は読者を説得させようだとかそんなことは思ってないかもしれないが、思わず唸ってしまう。正解なんてありゃしない、だって人生は不条理なんだもん。そう言っておきながら、不条理と言う安住の地にいることもまた否定する。グダグダたらい回しにしているようだが、本当にそうなのだから仕方ないかもね。 僕は学生ですがやりたいことが何もないしできれば何もしたくないと思っています。この本は僕のような人が読んで「こう考えていたのは自分だけではなかった」と気づかせると同時に、曖昧だった自らの思考・感情を言語化することに役立ちます。 自分が納得できていないまま働くことを要請される日がいつかきます。そのときになんらかの答えを出すのにこの本は一助となるでしょう。 働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)を楽天で検索 |