クリスマス・カロル (新潮文庫)

クリスマス・カロル (新潮文庫)

売れ筋ランキングクリスマス・カロル (新潮文庫)  
クリスマス・カロル (新潮文庫)

クリスマス・カロル (新潮文庫)


価格:¥ 300(税込)
新潮社  (1952-11)
/ディケンズ/ 村岡 花子/
文庫 151ページ
売れ筋ランキング:197573
檸檬 (新潮文庫)
春の数えかた (新潮文庫)
CSR経営―モラル・キャピタリズム
しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)
ムツゴロウ世界動物紀行 ニュージーランド・中国篇 SB文庫

同業者で七年前故人となっていたマーレイの亡霊が、クリスマスイブの夜に、偏屈で人間嫌いの金の亡者であるスクルージの下に現れ、これから三夜続けて三人の幽霊が現れると予言する。それら三人の幽霊は、過去、現在、未来のスクルージの姿を暗示する。それらの姿を見、未来の自分に絶望を感じたスクルージは、寛大に人間を愛し、クリスマスを楽しむ人間へと改心する。

この話はキリスト教的ヒューマニズムを端的に現わしている。未来において、自分の死に目に誰ひとり悲しまない姿を見てしまったならば、確かにこのままではいけないと思うに到るであろう。スクルージを単なる「嫌な奴」とせずに、過去に心に傷を受けた人物として造形するあたりに、ディケンズの真なるヒューマニズムというか、人間観察眼の鋭さを垣間見る思いである。しかし、最終的な改心を微細に観るならば、温かき人間性への回帰という以上に、「こういう未来にだけはなりたくない」というスクルージのエゴイズムが見えてしまう可能性もあり、その部分こそがヒューマニズムというものの微妙さである。漱石、芥川、太宰などの、明治期、昭和期の日本文学は、その微細な点こそを徹底的に問題として掘り下げ、結局は絶望的な小説として書き表してきた。日本とイギリスにおいて、キリスト教の普及の差異こそが、こうして小説の差異にも繋がるのであろう。いずれにしても、不条理的帰結に及ばずに、こうして読者に絶望の淵から救いを齎す小説は、それだけで大きな価値があるのではなかろうか。老若男女誰しもが、自らとスクルージを合わせ鏡のように観比べ、人間としての在るべき生き方をしているか、という自問を本書から受け、問うことになるからだ。私はといえば、スクルージとまではいかずとも、文学に触れて以来、多くは救いの無いような作品ばかり読んでおり、かなり陰鬱で排他的な人間になっていたので、こうしたキリスト教的救済を促す作品に出会えたことは、かなり貴重な体験であった。トルストイはディケンズをシェークスピア以上の作家として褒め称えたことで有名だが、それも大きく頷ける。人間の駄目で醜悪な点を抽出しつつも、最終的にキリスト教的救済を齎す作風において、トルストイとディケンズはかなり似通っている。また、トルストイは晩年、大衆に訴えかけるような作品でなければその他は無意味として、自作の『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』、或いはシェークスピアにゲーテやヴェート―ヴェンなどを全否定し、自作で価値のあるのは数編の民話のみとしたことも有名だが、この『クリスマス・カロル』は、内容にしてもページ数にしても、そういったトルストイの願望に上手く当て嵌まった万人的藝術と言えるのではなかろうか。そういった点も考慮しつつ、やはり今は、過去に傷を受け人間不信となったスクルージが改心し人間性を取り戻したという事実に、エゴイズム云々よりも、キリスト教的ヒューマニズムの賛歌として、本書に祝福の音を挙げたい気分である。

子供用絵本で読んだりアニメで見たりして内容は知っているストーリーでも、
こうして改めてじっくりと読んだのは、今回が初めてのこと。
短編とはいえ実寸(?)一晩のことを、これだけ綿密に描かれているので読み応えがある。
訳が、村岡花子氏による昭和27年のものであること、
ディケンズが用いる膨大な形容描写を成熟した日本語表現で表されているところも魅力的。
硬くこびりついた人生の汚れた膜。
一皮めくれば、スクルージのように柔軟なナカミが息づいているのかもしれない。

主人公の老人・スクルージは吝嗇家で人間嫌いで偏屈。
ところが、イヴの夜に相棒だった故人・マーレイの亡霊と対面する。
彼の予言通りにスクルージの前には幽霊がやって来て、それらの幽霊に連れられて、
貧しいけれど心暖かい人々や自分の将来・過去を見せられて徐々に改心していく。
というお話。

主人公はものすごく偏屈に描かれていますが実際には不器用で心に傷を持ち、人には上手く接せられなくて優しくもできない。という感じがします。

この著者は世の中の不正・不公平などをユーモアを交えながら批判した作品を多く残していますがこの作品もそうだと思います。
最後にスクルージが連れていかれて目の当たりにしたものはあまりにも残酷な気もしましたが、それは人間は切羽詰ってからでないと行動しないということに対する著者からの皮肉を交えたメッセージだと思います。

光と影を錯綜させながら展開していくこの作品は様々な教訓が入っているので、子供から大人まで幅広く楽しめる作品だと思います。

守銭奴で冷酷なスクルージ爺さん
そんな人でも幽霊になった後に助けてくれる友がいる
そして受け入れてくれる人たちがいる、読んだ後わが身を振り返って
反省することが出来る。そんな一冊です
英語圏で愛読されていると言うのがよくわかる一冊。
英語圏の小説でよく引用される、けちで、意地悪といえば、この小説の主人公「スクルージ」おじさん。そんなへそ曲がりで、きらわれもののじいさんでも、何かの導きによって心をいれかえることができます。心がさむくなったとき、そう、クリスマスの冬のように心が凍えるときにはディケンスの名作、「クリスマスカロル」が心を暖めてくれます。本当に肩肘はらずに読めちゃう薄い本です。でも、ホッカイロよりも利きますよ。
クリスマス・カロル (新潮文庫)を楽天で検索