とんぼの本 フランス ゴシックを仰ぐ旅 (とんぼの本) |
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昔、孤独な旅をした事が有る。若い頃、一人でヨーロッパをさ迷って居た時の事である。パリに滞在しながら、ひどい孤独に苦しんだその旅で、或る日、ふと入った教会が、本書にも取り上げられて居るサントゥスターシュ教会(Eglise Saint−Eustache)であった。その時、暗い教会の中で見上げたステンドグラスに描かれた聖女の衣や花の事を私は、今も忘れる事が出来無い。フランスのゴシック建築の美しさと精神的深さは、若い孤独な旅行者の心を動かし、二十年以上が経った今も決して心から消える事が無いのである。 ゴシック建築の美しさは、もちろん、教会に行かなければ分からない。だが、そのゴシック建築を生んだ中世ヨーロッパの政治や社会について、私は、今まで余りにも無知であった。この本は、そんなゴシック建築の美しさは知って居ながら、ゴシック建築を生んだ中世ヨーロッパの政治や社会については何も知らなかった私に、基本から多くの事を教えてくれる好著である。ヨーロッパで教会を見る前に、この本を読まれる事をお薦めする。 (西岡昌紀・内科医/平成19年の晩秋に) 巻末にもあるように芸術新潮2002年8月号を増補、再編集した本。 増補したところとしては雑誌では扱っていなかったアミアンとストラスブール大聖堂を扱っている。巻頭で扱っているアミアンには著者の気合を感じる写真が多い。特に聖歌隊席の数々の木彫、特殊照明で照らされたファサード彫刻などは他の本では見られない内容である。 再編集したサン=ドニ、シャルトル、ランス、ボーヌ、ディジョン、ブールジュ、ヴァンドームについては写真の入れ替えが一部にあるが、文章を含め殆どはそのままの構成になっている。 美しい写真で簡単に読める本なので、フランス旅行の予習や旅行地探し等にはピッタリの本です。逆に建築学的に大聖堂のことを知りたい人や、各種彫刻の意味する寓意などの知識を深めたい人には向かない本です。 歴代王家の墓所であるサン=ドニ、ステンドグラスのシャルトルブルーで有名なシャルトル大聖堂、フランス王家の戴冠式を行ったランス大聖堂、色彩豊かな屋根瓦のボーヌ施療院など、フランス各地の主だったゴシック建築を、外観だけでなく、ステンドグラス、彫刻、祭壇画、聖遺物を含め、内部の細かな部分まで、多くの写真と分かりやすい解説で紹介する本書は、高所からの俯瞰、天井を見上げあたり、見下ろしたりと、様々なアングルで見せてくれるので、ゴシック建造物の魅力と鑑賞のポイントがビジュアル的にも優れた内容です。戦争で屋根の鉛が溶けてガーゴイルの口から流れて出て固まったランス大聖堂のガーゴイルや、当時の「町おこし」の役割もあった中世の聖堂建設で、建設に従事する仕事を奪われまいと、労働者がボランティアを殺害した伝説など興味深く思いました。また、縮尺模型によるロマネスク建築とゴシックの比較や、ゴシック大聖堂の構造学的な図解は一目瞭然でためになりました。文章が、それぞれ都築響一氏のエッセイ風、木俣元一氏の解説風に分かれているのも良かったです。 とんぼの本 フランス ゴシックを仰ぐ旅 (とんぼの本)を楽天で検索 |