水と緑と土―伝統を捨てた社会の行方 (中公新書 (348)) |
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「水を治むる者は天下を治む」と古来から治山治水は国の重要な施策だった。国民は為政者がダムをつくり川の両岸をコンクリートで固めるのになんの疑いを抱かなかった。しかし、ダムの建設額と洪水の被害は決して反比例の関係ではないと著者はいう。また、ダムによる貯水で群発地震が起きた例さえも紹介している。有明海の海苔被害は諫早湾の埋め立てが原因と糾弾されているが果たしてそれだけだろうか。有明海に注ぐ川の源流地帯の山林の荒廃ぶりは無残なものである。本書は国土交通省(当時の建設省)の事業にだれも疑問を投げかける人のなかった時代に書かれた警世の書であり、今でもその光彩を放っている。 過去二千年余りにわたって営々と築かれてきた日本文化が、今急速に失われつつあることに気づいている人がたくさんあると思う。森の役割、そこではぐくまれた水、その水の貯水池であり、コントロール所であり、生態系をはぐくむ湿地帯としての役割を果たしてきた水田、川や土の持つ生態系とのかかわり。そんな森や水や土の機能を知り尽くし、戦い、畏敬し、またその美しさを愛でてきた過去の日本人の生きざま。そのすべてを、驚くほど理路整然と教えてくれる本がこれである。初版は1974年だが、私がごく最近手に入れた本は1999年の第42版である。たくさんの人に読みつづけられているとわかっただけでもうれしい。こんな本をもっと早く読んでいたらと残念だが、今からでも遅くない。日本中の人に読 水と緑と土―伝統を捨てた社会の行方 (中公新書 (348))を楽天で検索 |