ぼちぼち結論 (中公新書 1919) |
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結論がアメリカの依拠している文明を突いているんですね。 このタイトルのように結論に導かせているんですが、結論に至るには原因があるようです。 アメリカの行き詰まった文明、現代っ子の様相、すべては余計な事をした結果に繋がっているんだと感じましたね。 石油はいずれなくなる。 養老氏は、本音では、それを待っていると言う。 衝撃の最終章では、 石油無しでも、文明を築き上げることが できた地中海沿岸、中国(日本はダメ?)と テキサスの油田発見がなければ、出来上がらなかった アメリカの文明の違いを述べながら、 人間が石油によるエネルギーを必要とするのは何故か? と問いを立てます。 この問いに対する答えが、私にとっては衝撃的でしたので、 これから読まれる方の楽しみために、内容は伏せておきます。 橋本治『日本の行く道』で主張されている、 日本は世界に先駆けて、江戸時代に戻ってしまえばいい!! という一見、荒唐無稽なメッセージとの関連を感じます。 また、浅羽通明『昭和三十年代主義』とも繋がるでしょうか? 最初に言っておきます。養老さんの著書は、評者にとってはかなり読みにくい書籍の部類のひとつ。「バカの壁」もそう。この著書の中でも養老氏の講演を聴いた人から『先生の話はよくわかりませんなあ』と言われるそうだ。だからといって、養老さんの本を避けて通ることはできない。それは、読みづらい=「思考回路が違う」からであり、前提条件が全くことなっているからだと考えている。つまり、養老さんの書籍を読むことで、養老さんの思考回路が評者の脳にアジャストされていく。これは、シナジー効果を生む期待が高まり、思考の幅が広がると考えている。 さて、今回の「ぼちぼち結論」は、「よく見渡す」ことをテーマにしていると感じた。普通だと思っていること、当たり前だと思っていること、果てしてそれらの事は、本当にそのままで良いのか?と著者は危惧している。だから、もっとよく「見てみよう」と強く訴えかけている。 評者が無知なだけかもしれないが、石油が世界(アメリカ)を動かしていることに驚いた。イラク戦争も湾岸戦争も、アメリカ大統領の選挙も。 また、「自由と不自由」も興味深い項目である。 秩序はかならずそれだけの無秩序を生み出す。 熱力学の第二法則といいかえてもいいだろう。 つまり、自由はその分だけ、おそらく不自由を増やしている。(p.73) とあるのだが、なるほど、と唸るばかりである。 アメリカは拳銃を自由に所持してもよいが、その分日々過ごしている空間は危険性が増す。 青信号があれば交差点を安全に渡れる。けれども赤信号のときは車の行き来がなくても渡れない。こんな具合だ。 つまり、著者は人の判断能力が徐々に欠如してきていると感じているのではなかろうか。やってはいけない、ということをやってはいけないとわからないわけだ。これは評者が思うに、日本という国が豊かになりすぎたからだと考える。豊かという自由があるから、本能的に行動できないという不自由さが存在しているのに、それに気づいていないのだ。 狩猟民族である本能を忘れているのではないか。 もっと、日本人は強い。そう思ってままならない。 ※以下、気になった文章を抜粋 ・彼は、言語化不可能な世界にこそ、人間ならではの可能性を見出そうとしている ・考える労を惜しむ人が悪しきデータ主義に陥る ・虫は都会を除けばどこにでもいる。日本の国土には小さな山々が数知れずある。 それを見て楽しむ癖さえつけば、幸せなんて、いくらでも手に入る 養老先生 1937年生まれである。 2005年から2007年の中央公論連載の「鎌倉傘張り日記」をメインに収めてい る。これまでに同掲載は「まともな人」「こまった人」と言うタイトルで同じ く中公新書から出ている。そして今回のものが連載終了なのである。 養老先生は以前「死の壁」のあとがきにこう書かれている。 これで自分の中に溜まっていたものは、ほとんどすべて吐き出したと思いま す。逆さに振っても、もうなにも出ない。そんな気分になっています。これも 悪い気分でありません。いいたいことがあるということは、まだ「文句がいいたい」ということでもありますからね。文句がなくなりました。 でも、やっぱりここまで来ました。それほど世の中は複雑怪奇なのでしょう。しかしこれまで書かれて来た事に矛盾がないというかブレがないというのはさすがなのです。 幾つか備忘録として。 見えないものを見ようとするのが「自分さがし」であり、自分とは他人が見る自分でなぜいけないか。御意である。 ネットは便利でありがたいものでだが、その中だけで人が生きるわけではない。いかな読書家も本の中に生きるわけにはいかない。世界はつねにそこにあって、われわれに語りかけている。それに耳を傾けない人が増えたのは、代わりにネットを見ているからであろう。それはそれでいいがときどき外を見たほうがいいよ。年寄りとしては、そう忠告したい。そう書いたから、もう寝る。p168 最終章の「結論は一つ」として幸福と社会システム、アメリカ文明、アメリカと日本、日本をどうする、を書かれている。まさに養老先生のこれまでの主張を「愛する日本」のために綴っている。石油と文化の思想と言っても過言ではないと思う。我々は何処に向かうのか?是非とも最終章を読んでいただきたい。 養老孟司さんの連載エッセイをまとめた第3弾です。 相変わらずの養老節で、一般に無意識下で当然と思っていることを、時事ネタを通して「そうではないのじゃないのかな?」と語っています。基本は「意識されている世界が全てではない」ですね。 正直今までの2冊とそんなに変わらないのではないか?という思いで購入しました。確かに上述した養老さんの基本的なスタンスや考えが大きく変化していないのですが、語り口が変わってきたように感じました。大雑把に言えば「開き直り」のような・・・。 「もうお迎えがくる」とか「ジジイのたわごと」みたいな記述が多く見られたのですが、そこを逆手にとって、普段ならオブラートに包むようなこともズバッと切ってみせていた感じです。 そんな感じなので、今までの著作以上に養老さんの体温が感じられるような気がしましたし、痛快でした。 読み比べてみて感じることかもしれませんが、この痛快さは気持ちがいいです。 養老本を読み続けてきた方にもお薦めできる本だと思います。 ぼちぼち結論 (中公新書 1919)を楽天で検索 |