法隆寺を支えた木 (NHKブックス 318)

法隆寺を支えた木 (NHKブックス 318)

売れ筋ランキング法隆寺を支えた木 (NHKブックス 318)  
法隆寺を支えた木 (NHKブックス 318)

法隆寺を支えた木 (NHKブックス 318)


価格:¥ 966(税込)
日本放送出版協会  (1978-06)
/西岡 常一/ 小原 二郎/
単行本 226ページ
売れ筋ランキング:174537
木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)
法隆寺―世界最古の木造建築 (日本人はどのように建造物をつくってきたか 1)
斑鳩の匠 宮大工三代 (平凡社ライブラリーoffシリーズ)
宮大工棟梁・西岡常一 「口伝」の重み
不揃いの木を組む

文化功労者、宮大工棟梁の西岡さんと学者の小原さんの合作本。西岡さんの宮大工棟梁の経験と木への思いを学者の小原さんが実証データを駆使しながら丁寧に説明補足している。二人に共通することは木へ愛情だ。最初に西岡さんの聞き書き的な文がありその後やや論文調の小原さんの木に対する多面的な分析がある。この本の出版は1978年(昭和53年)西岡さん68歳頃のものであったと思われその後の著作の端緒のものであろう。

法隆寺大工としての個人史はいわゆる匠が形成されてゆく過程と内実が如実に語られていて印象深い。現代でも大工や技能工など体で覚えてゆく職種はあるがその基本形とでも言えそうな職業観である。そして宮大工として古代建築に関わる過程で木の自然力を感知、体得してゆく中でそれと一体になる程の思い入れを持つ。法隆寺解体修理の時、樹齢2000年のヒノキが1300年もの間法隆寺を支えてきたのを見て「それは神のようだ」と言っている。台湾で2000年のヒノキを伐りに行った時なども「宮大工の良心に誓ってその命を殺すようなことはいたしません」と一心に拝んだそうだ。これらの言葉の中に含まれる内容こそ西岡さんそして小原さんに共通する思想ではないだろうか。

学者の小原さんは木の構造、評価、強さの秘密、分布、針葉樹と広葉樹、老化の仕組み、木と彫刻、木材輸送などテーマごとに詳細な説明と解釈がつけられている。広葉樹が針葉樹より後期に出現したこと、その細胞構造が違うので樹種の特定は木片を分解して調べること、なぜヒノキ(木)が鉄や金属より強く長持ちするのか等など興味ある内容がいっぱい。木や森に関心がある人に限らず自然の力を信じている人には参考になる書物だろう。


宮大工棟梁西岡氏の職人の立場から見た木と建築学教授小原氏の学者の立場から見た木が競い合いながら寄り添って生えているといったところか。学術的見地からの記述は少々難しいところもあるが、西岡氏の職人のかんを科学的に裏付けている点が多々ある。ただそれぞれの見解がそれぞれに述べられているといった感が強く、もっとお互いの対立点や歩みよりなどの裏話的な要素も欲しかった気がしないでもない。
「聖徳太子」についての勉強会で、講師の先生から薦められたのがこの本。著者の西岡常一さんは、もうなくなってしまったけれど、最高の宮大工として知られた方。

「木を買わず、山を買え」

これは柾目の木だけで建物を作ろうとするなという戒め。 エリートばかりだと会社はつぶれてしまうというのに似ていませんか?

「搭組みは、木組み

 木組みは、木のくせ組み  木のくせ組みは、人組み  人組みは、人の心組み」

といった宮大工の口伝は、会社運営にも通じる極意。

スペシャリストとして、物事を極めた人の言葉は、普遍性を獲得し、ジェネラルなものになるのだと、あたらめて思い至った名著です。


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