ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき |
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カーツワイルの言う「特異点」とは 人間の知能にコンピュータが追い付き、 それ自身の知的能力を増強し始めることを指している。 これまでのテクノロジーの進展についての考察と異なるのは、 ムーアの法則、とそれに近いコンピューティングの指数関数的成長理論に基づいて 特異点は2040年代の後半だと断言している点である。 これはこれまでの未来学者にはなかった潔い態度である。 私にはもう少し遅くなるように(直感的に)感じられるが、 言い訳を許さない、あいまいさのない予測と態度はたいへん好感が持てる。 ナノテク、バイオテク、神経科学などが相乗的に展開し、 近い将来に人類が未曾有の繁栄を実現するというのは、 悲観論の多い常識的メディアと決別していて痛快である。 私が驚くのは、この著作に代表されるような、 実にアメリカ人的な、飽くなき自己能力の増強への野心、 人類の発展の不可避性への確信、あるいは信仰である。 最後はSFのオメガ・ポイントにも似て、 ワーム・ホールその他を利用して人類の拡大が光速を超え、 全宇宙が人類の知性によって満たされるという。 あるいは、これはさらには他の宇宙の創造によって 他の並行宇宙をも創造して人類の知性が無限に拡大するだろうのという考えは 物理学者ミチオ・カクの著作にも通じていて、物理学を超えて興味深い。 また、この世界が、他の知性によるシュミレーションかもしれないというのも 単なる哲学を超えて真剣に議論するあたりも、ある意味新鮮であった。 また興味深かったのは、彼はテクノロジー信仰の具現化といえる人物であり、 自身の不老不死を目指して、体内の物質濃度を最適化しようという行為を 今この「現時点」において、すでに実行していることである。 カーツワイルの科学信仰の告白が本書であるといえるだろう。 日本という狭い枠組みから眺めると、まさに超越的人物である。 近頃元気の出ない科学万能の夢物語を聞かせてもらえたが、やはり苦笑を禁じえない。没主体の科学信仰はまだこのような形で延命できるのかと参考にはなった。これが万が一現実とならば、いったいどれほどの恐るべき代償が招来されるのだろうかと寒々としてきた。レビューではマトリックスを超えるとあるが、超監視管理統合社会を予見した皮肉なのだろう。 人類の過去、現在そして未来を、科学的知見をちりばめながら描いたSF的人間・機械論。 数億年前の生命の起源から、人間と機械が融合をはじめる数十年後の「特異点」を へて、究極的には「宇宙が覚醒する」という壮大なシナリオは、夢想と紙一重である。 最初に神ありきではなく、最後に神(=宇宙意識)が生まれるという発想は、一神教的 世界でしか展開しえない。 著者のカーツワイルはOCRなどをはじめとする著名な発明家である。ヨーロッパの ホロコーストから逃れてきた彼の両親は、ユニテリアン派教会に所属していた。ユニテリアンは、キリストは神ではないとする自由派の信仰グループで、ピート・シガーやカートボネガットなどが信者であった。 彼自身、糖尿病の持病があったが、独自の治療法でこれを克服したという。自分の身体プログラムを改造するために、毎日サプリメントを250粒摂取し、毎週6回、静脈内への栄養投与をして、健康体そのものだと自慢している。 確かに身体機能は回復するかもしれないが、私だったらサプリメント漬けは、ご免こうむりたい。 力づくでパワーアップする人体(脳も含む)という発想もいいけど、「幸せ」とは、どこかでずれているのではと思う私は、なにごとにも淡白な日本人の証かもしれない。 とはいえ、「攻殻機動隊」の世界が現実になりつつあることもたしかで、本の厚さに負けないで、一神教の世界をのぞいてみるもの、一興かと思います。 普段ここまで高度な内容の科学の本は購入しないのですが、何か興味を引かれるものがあり、思い切って買いました。はっきり言って相当難しい本です。寝る前にさらっと読むとかそんな感じではないですね。今読み始めの段階ですが、読破するにはかなりの時間を要するかと思います。しかしここまで難しいにも関わらず、読めば読むほど興味深い内容のように思えます。IT、コンピュータの技術が急速に進化を遂げ、人類が生物としての特異点を超える未来がやってくる…。そう遠くない未来、「生物」「人間」の概念も変わる時が来るのかもしれません。多少SF的とも取ることができ、賛否両論ありそうな未来予測ですが、近年の科学技術の進化ぶりを見ていると100%ありえないとも言い切れないのではないでしょうか。 「これから先、地球環境は悪化し、絶望的な未来がやってくる」というような悲観的な未来予測が多く、その方が説得力があるように感じてしまうような世の中ですが、そんな中では画期的と言える本かもしれません。科学がこれからもますます進化していくことは間違いないでしょうし、進化の先に行き着く未来はどのようなものか…。著者の示す「特異点」を超越する未来はやってくるのか…。読み終わった後にはものすごい未来像が読者の中に描かれていることでしょう。科学技術の進化の果ての未来を示した、非常に興味深い一冊です。 人工知能が出現するとそれは自分自身を進化させることが出来るので ほとんど瞬間的に人間には理解不可能な超知能を獲得する。 人工知能の思考速度や記憶容量はごく短時間で百万倍になり十億倍になる。 人間には全く想像もできないような超技術が、想像を絶する質と量で 恐るべき短時間のうちに出現することになる。 非常に予言的なSF小説がある。物理学者ロバート・L・フォワードが 書いた「竜の卵」だ。中性子星上の生物が登場するのだがその生物の身体や文明は 化学的相互作用、つまり電磁気相互作用の替わりに核力による強い相互作用を 使っていて人類の百万倍の速度で考え、百万倍の速度で進化するのだ。 彼らは人類との遭遇時点では原始的な部族社会を営んでいるのだが思考速度が 人類の百万倍だから人類をあっという間に技術的に追い越していく。 特異点後の機械生物の行動は「竜の卵」で描かれた中性子生命体と酷似するはずだ。 彼らの思考速度はあっという間に人間の百万倍を超えるだろうし、またたく間に一兆倍 に達するだろう。宇宙全体に時空転移していくだろうし、並行宇宙や 多次元空間にも進出するだろう。なんといっても人間の百万倍とか十億倍、一兆倍 の速度で技術的に進化していくのである。宇宙全体や多次元空間に進出しなかったら むしろ不思議である。 面白いのは物理学者フランク・ティプラーの「オメガ・ポイント」の概念だ。 これは宇宙全体がコンピュータによって知性化されることを指していて、 これもまた特異点後の宇宙の展開に酷似している。ティプラーはそのほとんど 無限大とも思える処理能力を持つコンピュータの中の仮想現実世界では過去に 生存していた全ての人類が復活すると予言する。無限大の処理能力を有する コンピュータの内部ではあらゆるありえた人類の歴史の全てがシミュレート されているに違いなく、その中に部分集合として全人類の復活が 含まれるというのである。 (ティプラーは宇宙がビッグ・クランチに向かう場合に限って、コンピュータの 処理能力はクランチの瞬間、つまりオメガ・ポイントで無限大となり、主観的には 永遠に計算処理を続けることが出来るとしている) ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるときを楽天で検索 |