日と月と刀 下 |
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まぎれもなく丸山健二の現時点での最高傑作。というより現代日本文学の最高傑作と言っても過言ではないかもしれない。彼の近作はすべて、この作品を書くためのリハーサルに過ぎなかった。この作品には、彼の小説家としての40年間で培われた力量の一切合財が確かに投入されている。 室町時代、賊に連れ去られた挙句投棄されて首の折れた女から産み落とされた薬王寺無明丸。絢爛たる歴史絵巻のごとく語られる重厚かつ渾身の復讐譚は従来の「時代小説」の枠を軽々と飛び越えており、むしろ芸術の域に達していると言うべきだろう。 しかしやや難易度が高めの漢語なども多用されているため、村上春樹程度の作品で満足しているライトな文学ファンには絶対にお勧めしない。この作品を読み解くにはまず一定の教養を身につけなければならない。そうすることによって初めて、この作品の場面場面が極めて高解像度の映像となって読者の脳裏に刻まれる。 丸山健二でしか成し得なかった日本文学の一大記念碑。実にお見事というしかない出来栄え。日本語の「美」を実に遺憾なく証明してくれる逸品。 日と月と刀 下を楽天で検索 |