アメリカにいる、きみ (Modern&Classic) (Modern&Classic)

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売れ筋ランキングアメリカにいる、きみ (Modern&Classic) (Modern&Classic)  
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価格:¥ 1,890(税込)
河出書房新社  (2007-09-21)
/C・N・アディーチェ/
単行本 249ページ
売れ筋ランキング:194411
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自分には、見知らぬ人の深い悲しみを感じ取る奇妙な能力があることは以前から気づいていた、と三番目の作品「見知らぬ人の深い悲しみ」の主人公は告白する。他人の痛みを自分のことのように感じる能力は、この作家の天性でもあるようだ。どの作品にも人間を洞察する深いまなざしを感じる。作品の完成度は若い作家のものとは思えないほど高い。この本はこれまで発表された作品のなかから訳者が選んで構成した「日本語版オリジナル短編集」だというが、訳者の選択眼は確かで、翻訳もいい。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この一年の最大の収穫, 2008/3/29


内容も翻訳も、とてもよかった。どの作品も中身がみっちり詰まっている。日本だけのオリジナル短編集というのも驚く。原書がないのだ。
「アメリカ大使館」で主人公が「新生活」に、墓地にイクソラの花を植えたかった…その花を摘んで、蜜を吸いたかった…あの部分に、思わず涙した。どの物語も過酷な現実に引き込まれながら、それでも、当たり前の人のいとなみ、当たり前の人の暮らしの大切さが、この作家にはある。それがとてもよく伝わってくる文章だった。2007年から08年にかけての、最大の収穫のひとつといっていいだろう。
翻訳が悪くて、全体的に読みにくい。誤植もかなりあった。良い作品であるので残念です。この作品は原書を読むべきです。
 「訳者あとがき」に引用された著者のインタビューにこうある。

  アフリカについて書かれた本(たいていアフリカ黒人がブラックアフリカについて書いた本)の書評者やその本に推薦文をよせる作家が「これはたんなるアフリカの本ではなく普遍性をもつ」といって読者を安心させるのはなぜか、不思議に思ったことはありませんか?まるで「アフリカの」と「普遍性をもつ」が相容れないみたいですね。

 「訳者あとがき」を読む前に、レビューに「普遍性をもつ」って書こうと思ってた矢先だっただけに、ガツンとやられた。賞賛と差別は裏腹だ。俺も知らず知らずのうちに欧米的な、先進国的な視線を身につけているって訳だ。それでも、あえて言う。この作家の作品は「普遍性をもつ」。この著者は、アフリカ出身ってことと、インテリってことで、二重の疎外感を持っていると思うんだよね。先のインタビューだけ読むと、「正しさ」一辺倒な感じを受けるけど、同胞の“労働者階級”の女性に対する差別意識とコンプレックスが綯い交ぜになった心情を主人公に吐露させていたりして、決して、自分をかっこに括った物言いをしていないんだよね。その上で、やっぱりアフリカンであったり、女性であったり、インテリであったりっていう自らのアイデンティティーと社会との対峙って点について、深く考え、書き綴っていく、その強さ、潔ささ、かっこよさっていうのかな、そこにシンパシーを感じる。東洋の島国の(相対的には)セーフティ・ゾーンに住む男性としては、全て理解できるっていうとおこがましいし、嘘になるんだけど、例えばアメリカに住むアフリカ出身者が自らや子の名前を分かりやすいように(ボブとかに)変えてしまう、なんていう悲しみ、屈辱、やるせなさは、身近に在日の人とかと重ね合わせて考えてしまうし、“結局分かり合えないにしろ、分かろうとする”想像力って、やっぱ必要なんだと思うな。
恥ずかしい話ですが、ビアフラがナイジェリアの一部であることを知りませんでした。「ビアフラの虐殺」と腹のふくれた子供たちの写真は、強烈な記憶として残っているのですが・・・。

この10編からなる短篇集には、最初の二編を読んだだけで圧倒されてしまいました。

最初は表題作の「アメリカにいる、きみ」です。
二人称で書かれたこの作品の斬新さが、ニューカマー移民の少女の切々たる想いをひしひしと伝えてきます。
二作目は「アメリカ大使館」で、難民ヴィザを取るために並ぶ女性の心理が良く伝わってきます。短編でこれほどの心理描写が可能なのかと驚かされます。

中盤は、ナイジェリアの内戦を中心とした話です。
民族問題、宗教問題が、この国でも大きな傷痕を残します。それは、そこにいる人間たちにとっても大きな痛手となっています。そのあたりを、個人の観点から丁寧に描いています。

後半は、異文化のぶつかり合いを個人レベルで描いた作品です。
その中では、「イミテーション」がアイロニーに富んでいて、爽やかな清涼感があって好みの作品です。
最後の「ママ・ンクウの神さま」も、先進諸国が入り込むことによって、壊されてゆく宗教や文化の問題に鋭く切り込みながら、ウィットに富んだ筆致でさらりと描いていて好感の持てる作品です。
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