このブランドに、いくらまで払うのか―「価格の力」と消費者心理 |
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注目していた研究者でしたが、いくつかのサーベイ結果を解説しているに過ぎない本だし、解釈も乱暴なのが残念です。たとえば165ページに、ブランド志向者が支払い価値を認めるいくつかのベネフィットがあげられており、ノンプレミアムブランドがプレミアム価値形成するためにそれらの要素を優先すべきとしています。しかし、ブランド志向者はプレミアムブランドでなくてもどのようなブランドに対してもこれらの要素を高く回答する傾向を示しているだけだと解釈すべきであるはず。最近買って損した本の一つです。 そもそも心理学に近かったマーケティングの分野も、Tversky(心理学者)がノーベル経済学をとって(日陰者だった)行動経済学が表に出てきていっそう、心理学化がすすんでしまった。この傾向は、とくに価格理論で顕著であり、プライシングについてのこの本も心理学者が読んでも心理学そのものになっている。最初に出てくる理論もプロスペクト理論だし。ただ、心理学が人間の基本的な行動原理をさぐるという自然科学的な方向性を持っているのに対して、マーケティングの分野は、ある意味人間の行動はともかく、実際にどうやってプライシングをすればいいのか、といった実用的な問題意識を追求するわけだから、心理学化してしまった価格理論を実際に、経営現場にいるひとが「役に立つ」とどの程度思えるかは疑問であろう。もちろん、深い部分から、価格理論を理解するにはこの本は最適であるのだが・・即効性はない。この本の著者も上田隆穂先生のように、理論的な本(大学関係者と心理学者は面白いが、現場の人にはいまいち)と、より実際的な本(現場関係者には好評だが、大学関係者や心理学者にはそれほどではない)を両方だして、バランスをとるのがいいのかも。 価格決定で悩んでいたので何か参考になるかと期待しましたが、結論から言うと余り私の期待には添ってくれませんでした。その一番の理由は「 タイトルと本の内容のギャップ」です。 様々なブランドや、もしくは様々な商品ジャンルに対して具体的なプライシングの提案があるのかと思いきや、それはほとんどなく、どちらかというと購買心理の論理の基礎を述べた論文と感じました。分析対象の分野もメインは自動車業界とファンッション業界のみです。それも限定的な。 ある程度参考にはなりましたが、実際の現場で具体的なプライシングのヒントを探している人には少し力不足のようです。もちろん人によってこの本に求めるものは違いますが。ただこの本のタイトルはこの論文には似合わないと思います。 このブランドに、いくらまで払うのか―「価格の力」と消費者心理を楽天で検索 |