武術の新・人間学―温故知新の身体論 (PHP文庫)

武術の新・人間学―温故知新の身体論 (PHP文庫)

売れ筋ランキング武術の新・人間学―温故知新の身体論 (PHP文庫)  
武術の新・人間学―温故知新の身体論 (PHP文庫)

武術の新・人間学―温故知新の身体論 (PHP文庫)


価格:¥ 600(税込)
PHP研究所  (2002-11)
/甲野 善紀/
文庫 248ページ
売れ筋ランキング:84665
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 遅まきながら、甲野氏の日本武術復興の実践行に魅せられました。
 現在次々拝読中です。
 いろいろと知らなかったとはいえ、甲野氏の努力に感激し、願わくば術理を体得しようと研鑚の船出を伺っている次第です。そのきっかけとしては実に有益な内容の書でありわかりやすいものでした。
 本書に触れるなら、どなたでも同じ感慨の念にふけるのではなかろうか?
 そんな心地良さが本書の売りです。
「人間学」と銘打ってあるだけあって、人間について書いた本として読むことができる。武術の術に関しての記述も非常に興味深いものがあるが、そこに至るプロセスや考え方が重要だと思う。

著者は自分で考え、自分の体を動かしながら術を高めていく。古くから伝わるものでありながら、「既成」の権威からは遠い位置にある著者。

柔軟な発想と強い好奇心のなせる業なのだと思う。古武術に興味がなくても、発想の豊かさを持ちたい方にはお勧めしたい本だ。


 1949年生まれ、武術稽古研究会・松セイ館を設立し、古伝の術理と技法を研究している著者が、1995年に著した座談的読み物の文庫化。昔の達人伝説を嘘だとは思えなかった著者は、昨今の「武道」や人間の体捌きに疑問を感じ、とりわけ武道が精神論化して建前と現実の乖離を生んでいることを批判し、身体の使い方について試行錯誤を繰り返す。その過程で身体を捻らない動きの重要性に気づいた著者は、古伝『願立剣術物語』との出会いを通じて、身体各部をより細かく割り、その細かく割った各部分を一斉に速やかに動かすという方法を考案する。不安定を使いこなすとか、武術の達人はオートとマニュアルをうまく切り替えられるようになった人だとか、人間はたいてい予想に基づいて行動しており、したがってその予想が外れた場合には脆いものだとかいう著者の発想も、それと関連している。読みやすく、その他にも興味深い視点が多々ある。

 ところで、本書には「温故知新の身体論」という副題が付いているが、本書を読むかぎり、著者は古伝から手がかりを得つつも、基本的に自分の試行錯誤に基づき考えており、古伝の正確な読みかどうかは分らないと自分でも言っている。つまり、単なる復古主義でも伝統重視でもない。そのことは、地道という言葉で単なるマンネリを美化するな、という言葉にも表現されている。また伝統的な職人技の紹介も、「その道を極めた個人」への賛美である。私たちが本書から学ぶべきことは、そうした「革新」の側面でなければならないだろう。


本書は私のように、合理主義や科学万能主義がもしかしたら間違っているのかも、と思い始めた人にはきわめて示唆に富む一冊です。目からうろこが落ちる部分が多いです。考えもしなかった人体への見方、それに可能性を教えてくれます。しかしその中にも合理的な説明や科学的なアプローチがなければ人は納得しないものです。その点も意外と著者はしっかりしていて、この人の勉強量、知識量は半端じゃないな、と思わせるところがあります。そういう人が説く身体論であるので説得力があるのです。 それでも少し荒削りな面も否めません。この本は熟読というよりも、サラッと読む気持の方が良いかもしれません。 ちなみに私はさっそくこの本の言う歩き方で3kmほど歩いてみましたが、不思議なことに自然と足早になり、疲れませんでした。気のせいかどうかはしばらく続けなければわかりませんが・・。
 この著者は集団的な指導法に嫌悪を感じているとおぼしき発言が多々見られる。西欧のスポーツ的合理主義もダメだが根性主義的な体育会系もダメなのだ。著者は明治以後の近代合理主義の体系の中で軍隊のための武術は江戸期以前のそれと全く変質していったという。

 逆に言えば一般に江戸期以前は極一部の人のための武術が主流であり、大多数の人々には必要とされなかったということか。

 西欧と違い抽象的な論理が発達しなかった東洋は、身体的、芸術的なものを「思想」の如くあつかった。しかし論理=世界の西欧に対して、著者はやはり術の論理を求めているように見える。玄和会の南郷継正は術から体系化された「道」への発展を肯定的にみる。(武道の理論)

 つまり著者と逆だが、近代化を巡って衊??定と否定、あるいは受容と非受容の仕分けが、この著者も含めた身体的なもの一般を原理として抽出しようとする人々には必要だろう。


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