環境問題とは何か (PHP新書) |
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森林、水、土壌の重要性、これにかかわる日本の歴史と現状などを扱った書物。大変重要な問題提起であり、学ぶところが大きかった。 問題の重要性・緊急性ゆえか、文体にクセがあり、アジテーション演説調、断定調、説教調である。読ませる力はあるが、どこまでが事実(データ)でどこまでが著者の主張なのだろうか、といういささかの警戒感も抱かせる。 著者が話し急いだ空隙を埋め、さらに体系的な知識を得られるような配慮があると大変優れた入門書になったと思われる。 内容に照らして、タイトルにはやや違和感がある−−これこそが環境問題なのだ、ということであるとしても。 これまで学校で習ってきた社会科の固定概念をひっくり返してくれる。日本の歴史の中で、最も根本的で、最も重要な「土(=土壌)」について、「水」「森林」「稲作」との関連から鋭く警告する。日本に稲作が伝播してきて以来、現在まで続く農業。大陸から伝わりながら、「森の国の農業」として脈々と続く。現在も目にする田園風景は弥生時代からの風景と変わらなかったとする著者が「なぜ、今まで気づかなかったのか」と振り返る。今、自分たちが踏みしめている大地(土壌)に目を向けてみませんか。 「環境問題」も「持続可能な社会」も現代社会のキーワードだ。 でも中身がない。それが本当はなんのことなのかわかってない。 『環境問題とは何か』から解説し始めねばならない理由である。 水と緑と土は同義語。最後は海に流れ出る。 この本はそれを与えてくれる。文章がややこなれていないのが難点だが。 現在日本は不況の真っ只中にあり、経済の復興が叫ばれている。しかし、復興の枠組みというのは高度経済成長期あるいはバブル期の日本への回帰ではないだろうか?トマス・クーンは科学には発展はないといったが、いわんや社会科学である経済をやである。GDPという尺度をあてはめて発展、成長としている現在の経済では計れないもの、あるいは計量できないもののなかに、次世代の社会の方向性が記されている。効率重視の経済のありかたから、もっとパースペクティブな視点への切り替えが求められているのである。この本は、その意味で今後の日本、世界のありかたについて示唆してくれる。 本書は、私たちの生活環境をよりよくしていくためには、農林漁業の再生が不可欠であることを教えてくれる。 経済効率優先の風潮が強くはびこる現在の日本では、特に都市部に住む人たちからはお荷物のように見られているこれらの産業であるが、もっと広い見地から実態を見てもらいたい。 都市の金が交付税などにより地方に流れ、地方の人ばかりいい思いをしているという意見が世の中にはびこっているが、地方の人の努力によって都市生活が円滑に守られていることもあるのだ。例えば林業従事者がいなくなったら水を涵養している森林は荒れ、飲み水は不足するだろう。 要はそれぞれが互いに連帯しながら人間生活は成り立っているという根本のところが、今は忘れられがちなのではないか。「都市対地方」とちがう発想自体考え直す必要がある。物事のある一側面だけを見て全ての評価はできない。 かなりいろいろなことを考えさせてくれた本であったが、その割に評価が「星2つ」と辛くなってしまったのは、著者の感情的に走ったような記述がいささか目立ったため。もう少し冷静に論を展開してほしかった。 環境問題とは何か (PHP新書)を楽天で検索 |