街角花だより (アクションコミックス) |
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「夕凪の街 桜の国」を読んでからこうの先生の漫画に興味を持つようになった。 本作は,小さな花屋の店長とたった一人の店員の二人が登場するほのぼのとした,温かみのある物語である。おっとりした店長のボケに店員・りんさんのツッコミが絶妙で面白く,何度読み返しても飽きない。近所の街角にこんな店があったら明るくていいだろうな。 街角の花屋の店長と、ひょんなことからそこで働く事になった元OLさんとの ほのぼの日常漫画です。 正直あんまりオチがなくて、作者の感性の赴くままって感じですけど 読めば読むほど味が出てきて、気がつけばこの人の世界に浸かってしまう感じがGoodです。 最近ほのぼの系のマンガって、はやってる気がしますけど この人の場合は、無理矢理そういう雰囲気を作り出そうとしてないところが なんていうか、癒しを求める読者にとっての救いになってる気がします。 少し前の作品なども載せてあるので、ちょっと絵柄に違和感があるところもあるが、やっぱりこうの史代さんの作品。 全編通してやさしさと、温かさと、笑いが散りばめられています。 内容は、タイトルの「街角花だより」が新旧2つと、短編が2編載っていて、どれもこれも読んでいて自然と笑みが浮かんでくるような作品。 だが、どんないい話でも、それを単なるいい話で終わらせないのがこうのワールド。 最後にきっちり(時にはちょっとブラックな)オチが付く。 あからさまに感動させようとせず、ちょっと肩の力を抜いた感じのこのスタンス。 これが絶妙だからこそ、何度も何度も読み込んでしまうのだろう。 ちなみに、こうのさんの描く女性の横顔は本当に素敵だ、ということをこの作品で再確認。 横顔を書かせたら日本一?? この作品を電車の中で読み、暖かい気持ちで帰ってきたら、アメリカでは銃の乱射で30数人が犠牲になり、長崎では市長が銃で撃たれて重体、である。この現実との落差! まんがの中でこそ存在しうる、浮世離れした主人公と、その周囲のもう少し現実的な人たち。本当は重労働である花屋を舞台に、日常の小さなことに幸福を感じることの幸福を描いた佳品であり、これに別の作品が2編加わる。作者の習作時代の作品といってよく、実際、まだまだ綻びも見えるけれども、作者がのちに見せる作品世界はすでにここにある。頼りない描線が人間存在の不確かさを表している、などと書いたら、訳知り顔の社会学者のようだが、この線が作者の命だと私は思う。はかなく繊細で、日本的。 問題は、こうした初期作品を世に出すのはもう少し後にすべきだった、ということだ。「夕凪の街桜の国」でブレイクした作者であるが、ブレイクといってもまだ脆弱である。少しでも批判を書いたら集中攻撃をかけるような狂信的フリーク(それ自体は愚劣な存在だが)がついて初めて、安定した売り上げが期待でき、少々難ありの作品集を世に問うこともできるのである。本書を出すのはもうちょっと後にした方が、作者の将来にはよかったと思う。才能ある人が1度の失敗で消えていく例をこれまで何度も目にしたし、この作者にはそうなってほしくないのである。 春のうららかな日に、ぼーっとして何をするでもない日に、ひざに乗せたいのはこんな本です。それだけで一日が穏やかに流れ、ふうっとしあわせな気持ちに包まれる。そんなあたたかなちからが、この本には宿っています。 腹をかかえて笑うようなギャグまんがではないと思います。ちょっとにやっとする感じですね。なんとでもない、取るに足らない日常のふとした瞬間を切り取って、ちょっとした笑い(たとえばメガネ店長のメガネをはずしたときの異常にきれいな目、しあわせをよぶスミレ、花言葉で会話する、など)を混ぜています。 笑いなんだけれど、ほんわか暖かいほのぼのまんがなんだけれど、私が一番好きなのは、こうのさんの漫画にある、一瞬時のとまったような、まじめな瞬間。 登場人物の顔がふしぎに輝いて、ふとたちどまってしまうような力のあることばを発する瞬間があるのです。 その瞬間は、ぞくっとするほどきれいで、こうのさんの独特のものだなあと思う。 何度でも読みたいと思いますね。読めば読むほど、味が出ると思います。 街角花だより (アクションコミックス)を楽天で検索 |