昭和 台所なつかし図鑑 (コロナ・ブックス) |
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今から半世紀ほど前の昭和30年頃の生活って今からみればとても懐かしい匂いが漂ってきます。本書は、そんな台所にあって、生活道具でもあった七輪、お膳、前掛、経木と竹の皮、鰹削箱、天窓、ブリキのバケツ、などについて当時の写真を交えて分かりやすく解説してありますので、当時を知らない人も実感できるようになっています。 映画『3丁目の夕日』の大ヒットは人々の郷愁を誘いました。ここに収録されている庶民の生活道具というものは時代と共に忘れられていきますし、残ることもありません。それゆえ後世の人が懐かしんだ頃には現物を見つけることができない、というのもよくある話です。 「電化製品(最近はこのような言葉も使いませんが)」のお蔭で現代人の生活様式は一変し、とても便利になりました。女性を家事労働から解放した功績は大きく、女性の社会進出に寄与したのは間違いありません。 昔に戻りたい、とは思いませんが、ぬか味噌をつける、包丁を研ぐ、という何気ない母親の日常の姿を彷彿とするような本書の企画には拍手を送りたいと思います。 この50年ほどの間で、台所とそれを取り巻く道具は劇的なまでに変化した。かまどや七輪は姿を消し、システムキッチン、電子レンジなど調理器具、インスタント食品など食材が家事労働を大幅に軽減してきた。しかし、著者は言う。「台所が近代化され、快適化されてきた過程で、忘れてはならないものまで忘れ去り、捨てるべきでないものまで切り捨ててきてしまったのではないか」と。それが何であるかを著者は明言しない。しかし、前書きに続く本文の生き生きとした文章で綴られるかつての台所での暮らし、そして、よくぞこれだけ集めたと感心する豊富な写真や図版が活写するのは、家族が近隣の社会とともに生きてきた、自然の中で生かされてきた「今とは異なる豊かさ」に満ちた暮らし方なのかもしれない。しかし、そんな難しいことを考えなくとも、近代史を台所から見た記録集、博物誌としても出色である。 昭和 台所なつかし図鑑 (コロナ・ブックス)を楽天で検索 |