将軍家御典医の娘が語る江戸の面影 (平凡社新書 419) (平凡社新書) |
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この本を読んだらその後、 前でもいいけど、 今泉 みね著、『名ごりの夢―蘭医桂川家に生れて』 (東洋文庫 (9))を 古本で買って、読みましょう。 よけいな解説など無くって生(なま)の声が聞こえる。 古語辞典など要らない。ほとんど現代語と同じ。 ただ、安藤 優一郎さんのこの本が出てから高くなっちゃた。 普段歴史の本を読まない私が、ひょうんなきっかけから久々に読むことに・・・ 読みはじめて、中央区の浜離宮が舞台になっていたので、私の地元じゃない!と親近感がわいてしまいました。 いつも花を散策しに浜離宮へは行っていたものの、浜離宮の由来なんて調べたことがなかったので、将軍家の御殿医が住んでいたなんて知らなかった= この本の主人公がその御殿医の娘=お姫様であり、その視点から幕末の歴史を表現しているところが面白かった。 あの有名な福沢諭吉との話もあり、幕末の混乱の時期ながらも何だかのどかな日の流れを感じさせられたよう〜 このお姫様は、大河ドラマの篤姫みたいな子だったのかな〜? 幕末の世をお姫様として過ごした女性の、昭和になってからの回顧録。 この本の主人公“みね”は、将軍家御殿医桂川家の娘。 周囲からはお姫様として扱われ幼少期を過ごした女性だ。 幕末のあわただしい世相の中でも、彼女の周囲ではゆったりとした空気が流れていたようだ。 今の浜離宮に住んでいた思い出や、蘭学の大家である父の元を若き日の福沢諭吉がたびたび来訪し、 諭吉に遊んでもらった事など、隠れた歴史のエピソードとなっている。 しかし外の世界は、風雲急を告げる幕末だ。 桜田門外の日の思い出や、京、大阪から届く知らせ(家茂薨去、鳥羽伏見の戦いなど)に浮き足立つ周囲の大人たちの様子が、 幼心にも彼女を不安な気持ちにさせた様子などが伝わってくる。 やがて、幕府が瓦解した後、新政府軍に屋敷を接収され、各地を転々とした様子など、体験したものではないと書き得ない貴重な記録だ。 周囲の幕臣たちが零落していく様子は、同じ幕臣の家の子として育った彼女から見ると、とてもつらい事だったに違いない。 そして、佐賀藩出身の夫と結ばれた後も、決して徳川びいきを譲らなかったエピソードなどが綴られている。 徳川の家臣として生きた人々が、どのような思いで幕末、維新、そして明治の時代を生きてきたかを知る貴重な資料となっている。 著者の「江戸城・大奥の秘密」がとても面白く、 時代的には続編に近いこちらも手に取りました。 巷に溢れる江戸雑学系や、江戸懐古・賛美一辺倒の書籍とは 一線を画します。 みねという少女の回顧録の紹介の形をとりながら、 非常に読みやすく、またかなりのリアリティを持って、 江戸末期から明治維新にかけての変化が表現されています。 福沢諭吉の足袋の穴を松葉でつついたり(笑)、 祖父の家である浜離宮でいとこと遊びまわったり(!)と、 微笑ましくも現代から見れば驚いてしまうようなエピソードを 交えながら、 「江戸時代が終わっていく」 という、リアルで変えがたい歴史の流れが感じられ、 これまで読んでいた江戸関連書籍にはない魅力があります。 日本史等では、「○○年から○○時代」と、 その日からがらっと時代が切り替わったように表現されますが、 実際にはゆっくりと、けれど決して後戻りはできない流れで 日常が徐々に変化していくわけで、 そのゆるやかな変化を読書として味わえる、稀有な体験です。 どれだけ持て囃されそうと、江戸が過去である、終わった失われた時代 なのだとこの本であらためて感じるとともに、 今と地続きであることもまた確信できる、名著だと思いました。 書生さんを振り袖でひっぱたくお転婆ぶりや、 父が御典医として城に上がるときの見事な衣装の描写なども とても楽しめました。 “姫さま、姫さま”と 何くれとなく面倒を見てもらっていた 武家の(といっても御典医)姫さまが、 ひとりで油を買いに行くシーンがあった。 振袖姿で、油屋に行って、 「どうぞ油を少々いただきとうございます」と、 両手をついて、頼むくだりには、 姫さまの緊張と、おばさんの優しさとが ないまぜになって、 すっかり、ほろっとさせられてしまった。 若い日の福沢諭吉をはじめ、 みんな、ほんとに生きてたんだ、 と思わせてくれる一冊だ。 ちなみに、オビは、 “薩長にお辞儀なんかするもんか!” おきゃんな姫さまだったみたいだ。 将軍家御典医の娘が語る江戸の面影 (平凡社新書 419) (平凡社新書)を楽天で検索 |