おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)

売れ筋ランキングおもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)  
おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)


価格:¥ 790(税込)
アスキー  (2008-03-10)
/中島 聡/
新書 272ページ
売れ筋ランキング:59503
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ラジオ、テレビ、電子レンジ、デジカメ、携帯型音楽プレーヤーなどもともと
そういうものがない状況下では、技術でもってそういう製品を投入し、生産技
術を改良しコストを下げ大量生産販売する仕組みを作り上げれば良かった。

しかし、もはやそういう「製品」はあるなかで、顧客に新たな価値、驚きを与
えて買い換えを促すために必要なものは、従来の技術指向だけではうまくいか
ない。じゃあ、何が必要なのかというその何かを「ユーザーエクスペリエンス」
という言葉で括って、幾つかのポイントを指摘している。

技術論、経営論と言うほど突っ込みは深くないが、IT業界の最前線にいた著者
の体験や考察は、一般的な評論に比べてやはり迫力がある。

プログラマー、SE、IT系のマーケターなども大いに参考になる内容である。

「User experienceはおもてなしだと思っています」
という言葉の紹介からはじまる。

ギークというと、良くも悪くも技術中心で物事を考えてるようなイメージがあるが、その機能は何のために作るのか、どんな実装やアルゴリズムが、ユーザーにどのような体験をもたらすのか。実は、ギークの道を極める人には「スーツ」な感覚も素養として求められてくる。行き着く先は、「おもてなし」という、まさに経営学と呼んで差し支えないものだ。ソフトウェアってつくづく人が作ってるんだなって再認識させられた。

アップルにできてソニーにできなかったことは何か。他の競合OSを叩きのめしてきた、あのWindowsも、感情も含めた意思決定や人間的流動を経て今の市場をつかんだ。他の消えていった技術に無く、市場で勝利したものとの違いは何か。こういった疑問も、中島さんや、この本の対談を通すと、はっきりと答えが見えてくる。

・その商品にソウルはあるか。
・「おもてなし」、できてますか。

技術も、ビジネスも、すべてはサービスにつながる。
著者の言わんとするところの、おもてなし(=ユーザーエクスペリエンス)
の重要性については私も同意見なのだが、なぜ重要かという点について
もう少し掘り下げが欲しかった。調査、考察を重ねた見解というよりは、
思ったことをそのまま書いている印象であり感想文の域を出ていないと感じた。

また、おもてなしや経営についての内容は少なく、
特別対談やIT業界にまつわるブログ的散文(これはこれで面白いコンテンツ
ではある)が多くを占めている。
全体的には最近のIT業界について思うところを記した本であり、
その一つの話題としてアップルを取り上げている印象であった。

特別対談においても、著者の発言に対談相手に比べて思索の浅さを
感じる部分が散見され、掘り下げの不足を感じたメインの部分と相まって、
全体的な物足りなさを感じた。逆に、肩肘張らずに読み流す分には
これくらいのほうが良いとも思う。
著者のいう「おもてなし」とは端的にいうと、
スティーブ・ジョブズのAppleにおける経営理念、思想の翻訳に過ぎない。

著者の頭のなかで日本人になじみの深い概念である「おもてなし」として咀嚼されて、それを読者に伝えたい、ということなのだろうが、結構このあたりは特にMac愛用者、Apple製品愛用者は感覚として理解していることであり、さらに一歩そこから踏み込んでなぜ良いのだろう?と考える人たちにとっては容易に分析できてしまうレベルにとどまる。

もし、アップルの経営哲学などに本当に興味があるのならば、創業者本人であるスティーブ・ジョブズの言説、スピーチを追うほうがおもしろいし、その観点ではこの本はあまり面白くないと思う。

著者は理念がある一流の技術者であり、アルファブロガーであるが、骨のある著書を読ませるという意味では失敗している。本の大きな割合を対談という水増しとしてしまったのは、初著作としてはまずかっただろうと思う。(対談集なら対談集として別個出せば良い)どうせなら、あまり大風呂敷を広げずに、技術者なりの技術周辺での著者自身の気づきなど一般にも伝わるはなしを「地道に」展開していれば逆に評価を得たのではないだろうか?
ワタシは、氏のブログを読んだことはないのですが、結構おもしろかったです。
レビューのタイトルは、後半の対談で中島氏が語る言葉ですが、この辺が、
日本企業の組織の中の歯車として生きていくのと、その対極として、生き馬の目を
抜く、ハイテク、シリコンバレーで、自分の存在と成功と仲間での成功を目指して
仕事をしていく人種の違いなのか?そんなことを強烈に印象づけられる、おもしろい
視点の本でした。

グーグル、アップル、ソニー、マイクロソフト、IBMや、その他、ハイテクベンダー
の名前が登場しますが、第一章で、はやりの、ユーザ・エクスペリエンスを「おもてなし」
という経緯は興味深かったです。

アスキー、マイクロソフトで働き、ハイテクの潮流の、まさに中心で生きていた氏
が語る、産業の世代交代、IT成功モデルの交代劇の分析は、一種、梅田氏の一連の著作と
通じるものもあり、この業界の栄枯盛衰と、しかし、磐石にも思えるグーグルの今後
の不安も、なるほどと読める、業界ものでもあります。

どの産業にしろ、ビジネス社会で生きていくうえで、硬くない対談も含めて、
一度読んでおいて損はない佳作です。

ただ、ちょっと昔の最盛期や、自分たちのやってきた仕事を、なつかしむくだりも
対談などには特に、多く登場し、その時代を知らない若い世代は、ちょっと
辟易するかもしれないな、とも思ったりしました。
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