池袋シネマ青春譜 |
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森達也さんが映画青年であったことは石井聰亙監督やかつて石井映画の プロデューサーであった秋田光彦氏から聞かされていたが、この小説を読 むとその程度の深さを改めて感じることができる。そういう意味ではとて も面白い。いわば日本版「グリニッチヴィレッジの青春」である。 所謂ところの政治の季節には間に合わなかった若者である森さんたちは、 時代の勢いではなく自らの選択性においてドロップアウトしていくのであ るが、その時の心模様が少しばかりセンチメンタルに描かれているが決し て厭らしさは感じない。森さんの当時の行き場のない思いが実によく伝わ ってくる。 作品中に出てくる黒沢清、石井聰亙、緒方明、相米慎二、長谷川和彦、 シティーボーイズ、佐野元春、コロッケ、サザンオールスターズ、といっ た人たちの名前がいかにも時代を感じさせる。そういう渦中にいれること に何がしかの憧れと羨望を感じるのだ。 「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」で森さんのことを知り、この本も手にとってみました。あとがきで、わざわざ「フィクションです」と断りを入れていることから分かるように、読んでいて、自伝かと勘違いしてしまいます。「世界は・・・」を読んだ後だったので、この人がまったくの小説を書くなんていうのも意外だったし。なかでも、主人公がゲイに対して「世の中にはいろんな人がいる。(中略)それだけのことじゃないか」と思っている場面で、特に、森さんらしいなと感じたのですが、あくまで小説なのだそうです。 おまけに実在する有名人(映画、演劇界の人がほとんど)の名前もたくさん出てきます。映画や舞台好きの方は、なおさら楽しめるのではないでしょうか。 青春ものらしく、進路の悩み、恋愛、性描写、お酒も多く出てきます。そして、なぜか私は食欲が減退してしまいました。 筆者が「オウム」「下山事件」などで名をあげたノンフィクションライターとは知らずに、タイトルと帯の「立教大学ヌーヴェルバーグ」だけで購入。 舞台は1977年というから、僕と同世代の物語とはいえないが、ディレ・カン、ゴジ、石井聡互、といった名前に思い入れを抱くヒトにとっては興味深い内容だと思われます。上記の人たちに加え、黒沢清、大竹まこと、相米慎二他の映画人・演劇人が登場し(筆者は実在の人物でないとしてるが)、80年代のサブカルチャー的な世界のプロローグとしてみることもできる内容だと思います。 池袋シネマ青春譜を楽天で検索 |