第二次世界大戦と日独伊三国同盟―海軍とコミンテルンの視点から

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第二次世界大戦と日独伊三国同盟―海軍とコミンテルンの視点から

第二次世界大戦と日独伊三国同盟―海軍とコミンテルンの視点から


価格:¥ 6,090(税込)
錦正社  (2007-05)
/平間 洋一/
単行本 368ページ
売れ筋ランキング:292417
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 この本を読んで気に掛かったことは、平間洋一氏が大東亜戦争とスターリンの謀略―戦争と共産主義 (自由選書)を重視し、尾崎秀実の南進工作には触れているのに、尾崎の支那事変長期化工作には触れず、また支那事変を拡大させ我が国を対米英戦へ誘導しようとする尾崎の戦時論文を満載した尾崎秀実著作集〈第2巻〉 (1977年)を使わずに、尾崎ら昭和研究会の共産主義者によって推し進められた近衛新体制運動を反共運動と述べていることである。
 
 この本は、隔靴掻痒の感を否めないというか、画竜点睛を欠くというか、何となく物足りないのである。

 軍事史学会理事をはじめ数多くの肩書きを持つ平間洋一氏ほどのプロが、夥しい数の資料文献を使用しながら、なぜ百尺竿頭一歩を進めようとしないのか、と思いながら読み進めていくと、平間氏は正直に告白していた。

 「本書を書き終えて強く感じたことは、日本では未だにコミンテルンやマルクス主義者に関する歴史を書けないということである。

 それはコミンテルン関係の資料が少ないだけでなく、コミンテルンの陰謀に荷担した、あるいは操られていた著名な学者や大新聞などが未だマルクスの主張した社会主義(共産主義)に共鳴したり、都合の悪い部分を隠蔽しすり替えているからである。
 
 さらに、ゾルゲ事件でスパイとして摘発された尾崎秀実を平和主義者、あるいは反権力運動の英雄とすりかえ、さらにこれらの著名な学者や新聞が日本では進歩的な自由主義者として大きな影響力を持っており、筆者を含めた研究者が学会や言論界から排除されることを懼れ、自らを江藤淳が指摘する『閉ざされた言語空間』に閉じ込めているからである。
 
 しかし、コミンテルンの日本の近現代史に及ぼした影響を解明しない限り、真の昭和史は永遠に完成しないのではないだろうか(第二次世界大戦と日独伊三国同盟−海軍とコミンテルンの視点から331ページ)。」

 空幕長の田母神俊雄氏がソ連およびコミンテルンの謀略活動に言及する戦史論文を公表して、朝日新聞社、NHK、TBSなどのマスコミや左翼勢力の袋叩きに遭った。これは平間洋一氏の懼れが、杞憂ではなく日本国の現実であることを証明してしまった。まことに残念である。
 内容は、書名を超えて、日独伊三国同盟締結から敗戦、さらに戦後占領期にまで至る昭和史を、米英ソ中関係を含めて多面的に論じた大作である。
 軍事的に戦争指導から作戦・技術にわたる日独関係を論じた研究は他に例が殆どなく、日本の戦った第二次世界大戦の理解を深め、同盟政策・戦略の難しさを教えられる。
 更にインパクトがあるのは、これまで学術書で取り上げることが何故か避けられてきたコミンテルンの視点からの分析である。コミンテルンの工作が、中国、日本、米国に浸透し、各国の政策を動かし、日中戦争を起こさせ、さらに日米戦争になったとする。また、戦後日本では外務省が戦争責任を回避して米国の開戦史観(一方的に日本がだまし討ちで始めた侵略戦争)、すなわち、いわゆる東京裁判史観に迎合したと断じている。
 この内、米国へのコミンテルン工作については、米国に浸透したソ連側工作員らの発信暗号電報解読内容が公開され(1995年、VENONA文書)、実態がかなりの程度明らかになってきた。著者の主張に同意する人も、反対の人も、本書は学術書として詳細な註がついているので、引用史料・文献を参考にできることでも大いに価値がある。
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