キャズム

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キャズム

キャズム


価格:¥ 2,100(税込)
翔泳社  (2002-01-23)
/ジェフリー・ムーア/
単行本 256ページ
売れ筋ランキング:4570
ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
ジェフリー・ムーアの「キャズム理論」がわかる本 (ポケット図解)
イノベーションへの解 収益ある成長に向けて (Harvard business school press)
企業価値の断絶

普段ファイナンスに軸足を置く者ですが、非常に面白い本でした。

「キャズム」とは2つのマーケット間にある大きな溝のことを指す。
本書の主眼は見過ごされている大きな溝を浮き彫りにし、対処法を提示する所にある。2つのマーケットとは
・新テクノロジーを積極的に受け入れる先取の顧客層
・新テクノロジーが登場しても、その業界標準が固まるまで待つ保守的な顧客層

大切なのは2つの顧客層が商品を買う姿勢が全く違うこと。大枠を言えば先取と保守の違い。これが大きな溝「キャズム」を生むため、各々の顧客層へのアプローチ手法を分けることが必要となる。ポイントは、先取層には商品のもつ性能をアピールし、保守層には自社商品が将来の業界標準となることをアピールすること。

確かに段階的に見ると最初に商品の対象となるのは前者です。しかしマーケットの大半を占めるのは後者であり、大きな利益を得るには保守的な顧客層へ切り込んでいくのが必須になります。前者へのアプローチに固執し、戦略転換できないのが多くの企業の躓きであると著者は述べます。


平易な文章に加え直感的なレトリックも上手に駆使し書かれているため、マーケティング初学者の私でもスラスラと読めました。
本書では、ハイテクマーケットを、
1) イノベータ(ハイテクオタク)
2) アーリーアダプタ(ビジョン先行派)
3) アーリーマジョリティ(価格・品質重視派)
4) レイトマジョリティ(みんな使ってる派)
5) ラガード(ハイテク嫌い)
に分類し、それぞれに於いて、取るべき戦術を変える必要がある事を説明している。
特に2)と3)の間には大きな溝(キャズム)があり、ここを乗り越えられないために、多くのベンチャーが消えていったと解説している。

本書がすぐれているのは、論理構成が優れているからだけではなく、それぞれの事例について、「如何にして壁を乗り越えるか」という模範解答が提示されている点であろう。

今まで頭の中でぼんやりと感じていた事が、ここまで明確に、ロジカルに説明されると爽快である。

本書は、ハイテク業界についてのものだが、よく考えれば人間のタイプも1)-5)に分類可能であり、それぞれのタイプについてつきあい方を変える必要があるのだろう、と気づかされた。

久しぶりに大ヒットの本であった。
 ハイテク業界の訓話。われわれも昔から似たような言葉を用いている。すなわち、「谷を越え山を越え」、だ。伊能忠敬だって、水戸黄門だってそうして歩いた。簡単なようにも、聞き逃してしまいそうにも思えるが、山に近づきたければ谷があるということであるし、山はやがて越えてしまうものである、という重要な意味を含んでいた。更に裏を返せば、どちらにせよ、そこでもたついていれば飢えることになる。目的は何なのかを思い返さないと汗を流すだけということになる。

 「キャズム」は、クラックより大きくやヴァレーより小規模な谷間のようだ。小谷さんでも大谷さんでもない方との付き合い方をマーケティングの観点で分析した、初期市場からメインストリーム(p.226、図5)に導くための著作である。「製品」から「市場」への価値観のcrossingを示すテクノロジー・ライフサイクルの図は、ハイテク製品とは異なるモノの生産・販売者でも、理解を深めることができよう。
 テクノロジー・ライフサイクルというのは、本書の表紙にも描いてあるが、(1)イノベーター、(2)アーリー・アダプター、(3)アーリー・マジョリティー、(4)レイト・マジョリティー、(5)ラガードと移り行く様を指す。ファッション界でもよく使う商品ライフサイクルと同様である。珍しもの好きから晩期ものの購買者までの山形(やまなり)の曲線のどこに目をつけ、儲けるかの議論でもある。

 黒澤明脚本『雨あがる』(DVDあり)では大井川に降りしきる雨のシーンがある。番傘片手に、よく降りますなあ、と水かさの増した川面を眺め、岸辺の旅籠に引き返す。越すに越されぬなら、待つか迂回するか。そのためには、賭け剣術で腹の足しになるものを調達するのも工夫の一つ。負ければお仕舞い。

 目次、ノルマンディー上陸作戦の如し、章名のみ。索引あり。参考文献なし。訳者あとがきあり。ひもあり。
皆が甘口のレビューを書いているのであえて辛口のレビューを

 キャズムに書かれてあることはほとんど過去の書籍に
書かれていることで,後発の方がわかりやすいのは当然.
原本は1999年であり,訳者があとがきで補足しているが
すでにその内容も古く,古くなる内容ということは普遍性が
無いことの裏返しなのではないかと疑いたくなる.
 それを証拠にと言うわけでないが,2007年に買った
本であるが,2003年の第2版であることから,もう
時代が変わったことを意味しているのかもしれない.
 
 ケースが古く適切でなくなった部分が出てきたとはいえ,メッセージは
依然新鮮で,「この新製品に注目」ではなく「この新市場に注目」(第6章)
など,OpenEyesなメッセージがならんでいるので古本でも
良いので買い求めることをお勧めします.
多くの書評で既に絶賛されている通りの素晴らしい本であった。
「新しいモノ好き(アーリーアダプター)と
 実利主義者の購買動機には大きな隔たり(キャズム)があり、
 多くのハイテク企業がこの違いを認識できず失敗する。」
と言うのが著者が提唱する「キャズム理論」の概略。
これはいくつかの事例を元に十分に説得力ある説明がされている。
ここ何年かのIT業界を見てきた者ならコロンブスの卵的発想かもしれない。

さらにこの本が素晴らしいのは、
そのキャズムを乗り越えハイテク企業を成功に導くための方法が、
説得力ある事例と共に実に詳細かつ判りやすく説明されていることだろう。
技術的に先行するハイテク製品を持っていて、
それを使ってビジネスを成功に導きたいと考えている経営者なら、
本の価格の何千倍ものコンサル費用を払ってでも知るべきことが書かれている。

ただ、私のようにマーケティング戦略が立案できる立場にない者にとって
この本の内容をどうやって活用するかは、私の中で消化しきれていない。
自らの担当範囲での「局地戦用」にこの理論を用いるか、
それとも自分が従っている会社上層部の「評価基準」として使うか。。。

また、マーケティング戦略が立案できる立場の者がこの本を読んだとしても、
常に成功するとは限らないだろう。
それはこの本の内容に限界があるのではなく、
この本の内容の実践には、相当な勇気が要ると思われるからだ。
そんな勇気を持つ経営者は、おそらく極めて少ないと思われる。
著者はキャズムを超える段階での「売り上げ至上主義」を戒めるが、
大半の企業では「売り上げ至上主義」からの脱却はとてもとても難しいのが現実だ。

とは言っても書かれた内容は素晴らしく、
ハイテク製品が「売れる/売れない」の根本原理を説き明かしている。
ハイテク関連の仕事をしているなら読んで損はないだろう。
   ジェフリー・ムーアの名を世に知らしめ、初版刊行の1991年以来売れ続けているハイテク関連企業のバイブル書が改訂され、邦訳で登場。「キャズム理論」として知られるその普遍的な概念は、ハイテク製品を成功に導くマーケティングの基本として広く知られ、スタンフォードをはじめとする多くのMBAコースで支持されている。

   ムーアは、テクノロジーのライフサイクルとその各段階でターゲットとすべき顧客を、標準偏差を用いて明確に定義している。新たなテクノロジーが最初「イノベーター」(テクノロジーオタク)に受け入れられ、やがて他者に先んじて投資しようとする「アーリー・アドプター」(別名ビジョナリー)によって支持され、そして実利主義者であり、成功の鍵を握る「アーリーマジョリティー」や保守的な「レイト・マジョリティー」に採用されていくという過程は、きわめてわかりやすい。

   本書が問題とするのは、このライフサイクルの図において、各層の間に存在する溝(キャズム)である。つまり、ハイテク製品のマーケティングでは、自分たちがライフサイクルのどこに位置するのかを正確に認識し、首尾よく溝を越えていくことが成否を分けるというのだ。アップルやパーム・パイロット、シリコングラフィックスなどの事例を適宜紹介し、ユニークな比喩を用いるのでわかった気にさせられるが、マーケターは「信頼できる情報がほとんどない状況下」で自社製品がどこに位置するのかを認識し、「これまででもっとも難しい決断を下さなければならない」。

   ムーア自身があとがきで述べているように、本書に記載された内容は必ずしも読者の成功を保証するものではない。だが、本書で紹介されているさまざまな製品の成功例、失敗例を頭に焼きつけていれば、二の轍を踏む可能性は少なくなるはずである。語り口も軽快で読みやすく、多くの人におすすめできる。(土井英司)


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