政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年

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売れ筋ランキング政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年  
政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年

政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年


価格:¥ 1,680(税込)
日経BP社  (2008-04-10)
/ジェラルド・カーティス/
単行本 264ページ
売れ筋ランキング:6336
政局から政策へ―日本政治の成熟と転換 (日本の〈現代〉 3)
堂々たる政治 (新潮新書 257)
政治をみる眼24の経験則 (日経プレミアシリーズ 21)
自民党政治の終わり (ちくま新書 741)
さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白

政治評論家の森田実さんが推薦されていたので購読しました。日本人の妻を持つコロンビア大学教授の著者は、1.日本文化の変遷、2.日本社会(人)の注目すべき特徴、3.知日派外人(著者)の日本での経験、を記すことを本書の趣旨だと述べています。

本著は日本社会・文化・日本人への愛情に満ち溢れていると感じました。そして、日本文化・日本人が持つ世界に誇れる良いところを指摘する一方、世界情勢、日本人の価値観、生活様式、選挙システムが変化する中で、かつて機能していた政治の非公式な調整メカニズムが崩壊し、それに変わるものが確立されていないことが問題であると指摘します。

歴代首相20人中19人と面識がある日本の政治通の著者の言葉は、外人である客観性と知日派かつ親日派である性質が巧みに交わり深い重みと洞察が感じられ、私は日本政治の変遷・今の政治課題・日本人の特徴とそれを生かす方法などが良く理解でき、とても勉強になりました。

以下にあとがきの著者の言葉を要約します

・日本文化の長い歴史と洗練さと粘り強さ、日本人の順応性と対応能力を過小評価せず、日本人は日本に自信を持って日本を変えて行くべきである
・どのリーダーにとっても有権者を説得することが一番大事な仕事であり、新しい競争力のあるダイナミックな政治を作ることが今の政治家の一番の課題である



日本在住45年。日本政治研究の権威の慧眼が、メディアに流布する皮相的な
ものの見方を覆す痛快な一冊。
とくになるほどなあと思ったことをかいつまんで言うと

・「再チャレンジ」はセカンドチャンス=新しいことをやるチャンスと違い、
 もともとあるべき道から外れた若者に、そこに戻るチャンスを与えてやる
 というニュアンスがある。
・同質性の高い社会で二者択一(小選挙区)にすれば政策は似通ったものとなり
 結局リーダーの個性だけが選択のファクターになる
・世界の孤児になるのを恐れて国際貢献が「目的」になるのは日本だけ。
・政治主導、政策通の政治家というが、ふつうの人がわかる話ができなければ
 政治家が官僚化してるだけ

などなど。

とかく日本について書かれた本というのは、
いたずらに悲観的・自虐的であるか、そうでなければ虚勢を張っているか、
いずれにしても何だかなあというものが多い気がするが、
久々に読んで気持ちのいい本にであった気がする。

まなざしは厳しくともこの国の行く末をポジティブに見つめていて、
「祖国愛」にあふれているといって過言でない。

日本語で書かれたという本書は、
カーティス教授の自叙伝としても読める。
近所のスナックで「日本語を覚えるのは流行歌が一番」と仕込まれ、
『小指の思い出』が今でもカラオケの十八番などというエピソードもおかしい。
本書は、23歳に日本の政治を研究にやってきた著者の約40年にわたる日本文化の観察記である。

日本人との交流(多くの政治家を含む)を通して、実に深く日本という国を理解し、愛していることが感じられる。

著者は、日本人の謙虚さ、たとえば「私は独りでは何もできないが部下が一生懸命頑張ってくれたからやってこれた」というリーダーの姿勢を美しいという。
一方で、日本人のアイデンティティ論については手厳しい。すなわち、日本ほど外国からあらゆることを吸収して独自な文化を維持している国はほかにはない、文化、アイデンティティは時代によって変わっていくものなのだ、だから、日本人のアイデンティティを主張することは今の日本人のアイデンティティを認めたくないということと同義語になるという。
さらに、決して日本人は外国のマネをしているのではなく、結局は日本的なものに変えてしまうのであるという。日本人の好奇心と吸収力を恥じるのではなく誇りに思うべきものであると言っている。

本書は全編日本語で書かれており、翻訳ではないところに、この著者の日本を愛する心が伝わってくる。著者は、日本人以上に日本を理解しているといっていい。
日本人よ、もっと自信を持とうではないか。

現在コロンビア大学教授(1940年生まれ)である筆者が学生時代からの日本の繋がりを綴った自叙伝的日本政治の舞台とその舞台裏。
日本語を習うために借りた下宿は下町で、そこでの人間関係がやがて日本の政治に興味を抱く基礎になったのだろう。
著者の学位の内容はドブ板選挙の徹底取材で候補者の家に泊まりこみ、会合では支援者と一緒に酒を飲みながらまとめたそうだ。
その後の交友はまさにメインストリームである。もちろん其処に行き着くまでの道のりは平坦ではなかったであろう。そして著者の付き合いのあった政治家の事や日本の政治に関してのエピソードを綴っている。
例えば麻生さんの「自由と繁栄の弧」という外交ビジョンを裏づける具体策が無く、中国を牽制しようとしていると指摘する。
また中曽根さんの外交4原則(力以上の事をしない、ギャンブルをしない、世界の潮流を客観的に分析する、外交と内政を混合しない)を評価している。

現状および今後の日本の進む道として、国際交流の加速化だとも指摘する、これは日本の国際交流基金が英国のブリティッシュカウンシル、ドイツのゲーテインスティチュートと比較して職員および資金があまりに小さ過ぎるという事実があるそうだ。

その他多くの裏話(田中角栄と金丸信の違いとか)、政治とマスメディアの問題点や日本での想い出が綴られている。知日派であり親日派である筆者は第2知日世代だそうで、現在は既に第4、第5世代になっていると言う。そしてその世代間で当然ではあるが日本を見る価値観が変ってきていると。

ある種非常に俯瞰的で中立的な立場からの意見が多い様にも思うが、実はかなり日本への思いやりと優しさが見え隠れする。もちろんそれは奥様が日本人であったりすることも関係するのであろうが、23才で来日して、多くの下町や田舎での日本人との交流を通して得られた感謝の表明でもあるように思う。
その昔、筆者の「代議士の誕生」を読んで、地方の政治家の選挙活動に入り込んで、日本政治を研究するという、型破りの方法で日本の政治学者を仰天させ、自分もびっくりした記憶がある。

この本を読んで、日本政治の変化をどのように見ていたかや、もともとミュージッシャンを目指していたエピソードなども興味深かったが、この本の一番のエッセンスは、「清潔感、礼儀正しさ、謙虚の美徳など日本の美しさに自信を持とう!」という主張ではないか。それも、娘たちの学校での掃除の体験やリストラされタクシー運転手になった人との対話など、ミクロの視点から見ているのが、「代議士の誕生」以来一貫した筆者の姿勢の特徴だと思う。
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