恋に死す

恋に死す

売れ筋ランキング恋に死す  
恋に死す

恋に死す


価格:¥ 1,680(税込)
清流出版  (2003-12)
/中野 京子/
単行本 181ページ
売れ筋ランキング:45475
危険な世界史
怖い絵2
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366) (光文社新書 366)
恋するヒロイン オペラにみる愛のかたち
怖い絵


 鎌倉時代に「とはずがたり」という日記文学を物した大納言久我雅忠の女(むすめ)二条のわずか14歳の恋から、20世紀のフランスの“文豪”マルグリット・デュラスの66歳の恋まで、23人の古今東西の女たちの恋物語を綴った一冊です。

 高校時代の世界史の授業で習い、今でもその名を知っている事件の背後に、道ならぬ恋、激しい恋があったことを改めて知らされました。
 ノーベル賞を二度も受賞したマリー・キュリーは、家庭教師として住み込んでいた資産家庭の長男と恋に落ちますが、相手の男性は身分違いの恋愛に反対する両親の意を汲み、マリーとの結婚に二の足を踏みます。結局マリーは優柔不断な相手を見限り、パリでの勉学の道を選びます。恋が成就していたら人類とラジウムの出会いは大幅に遅れていたかもしれません。

 第一次世界大戦のきっかけとなったサラエヴォでフェルディナンドが斃れたことはもちろん知っていましたが、彼が身分違いのゾフィとの愛を貫いていたこと、そしてそれに強く反対していたフランツ・ヨーゼフ皇帝がゾフィにつらく当たっていたことがサラエヴォ訪問の背後にあったことを初めて知りました。暗殺の危険がある街へフェルディナンドが敢えて出向いたのも、皇位継承者としてはゾフィと同席を許されなかったものの、かの街での陸軍演習を視察する軍人としての立場であれば夫婦同席が許されたからだとか。

 聖バルテルミーの大虐殺も新旧の宗教対立の産物であり、首謀者はアンリ2世の妃カトリーヌであることは学習していましたが、彼女があれほどの残虐行為を引き起こしたのは夫アンリ2世が愛人ディアーヌを寵愛して自分を顧みなかったせいもあるといいます。

 歴史が大きく動いた背後に、男女の様々な性愛がある。高校生はそのことを知れば、もっと世界史に関心をもつのではないでしょうか。そんな風に世界史を学ぶことは、決して悪いことではないと思います。

 山田風太郎の名著『人間臨終図鑑』の女性恋愛版といった趣の一冊。運命の恋に生き、愛の嵐に翻弄された女性たちの人生抄が要領よく、ドラマティックにスケッチされていましたね。最近刊行された『危険な世界史』『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』などで発揮される著者のオペラティックな描写力(?)と、緩急をつけながら巧みに盛り上げてゆく筆さばき、その萌芽が伺える好著だと感じました。「恋に身を焦がし、炸裂し、スパークする女たちの、こんな人生もあるんだなあ」と知る妙味。さくさく読んでいけて、面白かったです。

 その人生に、忘られぬ恋の花を咲かせた女たち。本書に取り上げられた<恋に生き、恋に死んだ>女たちは古今東西、次の二十三人。 ☆大納言久我雅忠の女(むすめ)二条 ☆アルテミジア・ジェンティレスキ ☆マリー・キュリー ☆ヴィルヘルミーネ・フォン・ツェンゲ ☆ザビーナ・シュピールライン ☆アン・ブーリン ☆松井須磨子 ☆ホーエンベルク公爵夫人ゾフィ ☆ポッパエア・サビナ ☆コージマ・ヴァーグナー ☆マリリン・モンロー ☆マリア・モンテッソーリ ☆ディアーヌ・ド・ポワチエ ☆絵島 ☆マリア・ルイサ ☆クララ・シューマン ☆アガサ・クリスティ ☆イザベラ・バード ☆マリー・ローランサン ☆アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ ☆エカテリーナ二世 ☆ヴィクトリア女王 ☆マルグリット・デュラス

 なかでも興味を引かれた女性は、江戸大奥女中の絵島と、英国の女性探検家のイザベラ・バード。十頁足らずの中に、波瀾万丈の人生のドラマが鮮やかに切り取られていて、引き込まれました。
同著者の『怖い絵』が面白かったので購入したのだが、大変興味深く読ませていただいた。山田風太郎氏の『人間臨終図巻』を読んだのがきっかけでこの本の構想が出来上がったそうで、内外の多くの有名な女性達の恋愛が、その恋に落ちた年齢(14歳から66歳まで)によって順に紹介されている。そのあまりにも様々な恋愛の形に驚き、圧倒された。全ての紹介された恋愛は普通でないものだと思うが、後半に行くに従って、つまり恋に落ちる年齢が30歳以上になってくると内容が非常に重くなっていく。特に、絵島やデュラスなどについては、いろいろな意味で面白く、さらに詳しく知りたいと思った。また、『怖い絵』でも取り上げられているヘンリー八世の話がでていたが、ここではヘンリー八世に殺されてしまう王妃側からの記述であり、それもまた大変面白い。

最後に一つだけ苦言を。本書の内容は大変素晴らしいのに、装丁が一見少女趣味なのが大変残念。もし本屋で見たら、手に取ることは絶対にないだろうと思うし、手にとって面白そうだと思ってもレジに持っていくのを躊躇うだろう。もう少しドライな、或いはシックな装丁にすればより多くの読者を獲得できたのではなかろうか?そういう意味で、この本は大変損をしていると思う。
 内外の14歳から66歳の有名女性(マリー・キュリー、マリリンモンロー、アガサ・クリステー、ビクトリア女王など)からあまり知られてない女性までの恋が流麗な筆で描かれる。66歳の恋は、マグリット・デユラス(フランスの作家)で、近年、映画にもなった。恋を学びたい人たちの最良の案内書。深い歴史、文学の教養に触れられる好著。
“たかが恋”とは言えぬ“されど恋”の話が、勿体ないほどに凝縮されたお薦めの本です。刹那さ、健気さ、強かさ、潔さ・・・歴史を飾ったひとりひとりを読み終える度、様々な感情が胸に迫ります。恋の形は人それぞれに違っていても、恋には人生を変える不思議な力が秘められていることを改めて感じさせられます。そしてその出逢いはまさに奇跡ですね。面白くて一気に読んでしまいましたが、今度は余韻を楽しみながらゆっくり読んでみることにします。
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