ディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]

ディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]

売れ筋ランキングディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]  
ディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]

ディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]


価格:¥ 1,995(税込)
英治出版  (2008-04-22)
/ビル・マッキベン/
ハードカバー 336ページ
売れ筋ランキング:61832
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ひっつき虫

 個人の幸福度は年収1万ドル程度までは収入に比例するが、それを越えれば必ずしも比例はしない。その証拠に、世界一豊かなはずのアメリカ人よりも欧州人はずっと幸福であり、繁栄を謳歌しているはずの戦後生まれは、うつ病発症率が先人の五倍に増えた。
 効率は幸福度だけではなく、農村や家族と言った共同体解体をも引き起こす。コーン農家はウォルマートでコーンフレークを買い、アフリカの自作農はコーヒー栽培にシフトすることで貧困層に転落する。誰もが経済効率のためにつながりと安定を失い、先進国では超個人主義が台頭する。現代アメリカ、そしてアメリカ型の価値観を持つ先進諸国の人間は、経済効率という宗教を妄信してしまっているわけだ。
 そこで効率以外のことに目を向け、共同体の再生を通じた豊かな社会を作りましょうという筆者の主張は、日本にも通じるところが大きいはずだ。
非常に興味深い内容(のはず)なのに、とてもわかりづらい翻訳だったため、
内容がすんなり頭に入ってこない。

そのわかりづらい翻訳を、通ずるようにするのが担当編集者の責務のはずだが、
本書ではその施しがなされていないのでは、と感じざるを得ず、
実際、内容を理解するために、同じ箇所を何度も再読させられた。

読者が未熟、といわれればそのとおりかもしれぬが、
正直読後感は、翻訳への強いストレスで一杯になってしまった。
出版社は、ここにある一読者のこの小さな意見を、真摯に受けとめてほしい。

ただ、取り上げられている題材にはとても共感でき、周りにも推薦したいと思ったので、
それを相殺して、評価は星★★。
 地球温暖化や食糧危機を含む資源不足、地域経済、都市と地域の格差、グローバリゼーション、高い生活満足度−本書で何度も挙げられる「地域社会」は、これらの問題を改善する重要な切り口になるかもしれない。

 私達は既に地球で生産されるエネルギー・資源の容量を越えた生活をしており、地球温暖化や生態系の破壊といった環境問題はますます顕在化してきている。それに拍車をかけるように、中国やインドといった国が大量のエネルギーを消費しながら経済発展をし続けているし、世界人口も当分増加傾向にある。グローバリゼーションが進み、一部の層は大きな富を手に入れる一方で、その利益の多くが発展途上国から流れている。一方で、経済的に裕福になっている人々でも、人と人とのつながりは弱まりや忙しさから、生活満足度が低下しているという側面もある。

 本書は、これらのような問題を改善するベストプラクティスとも呼べる様々なケースを提示している。それらに共通する、最も重要なキーワードは「地域社会」だ。環境にあまり負荷を与えず、コミュニティの人と人とのつながりをつくり、住民が直接民主主義に参加し、自分たちに関わることの意思決定に参加できる。その結果、非効率でGNPは下がるものの、環境・資源の問題を改善し、生活満足度の向上にもつながる。

 持続可能な地球・社会といった観点から見るならば、GNPの拡大をひたすら追及する規模の経済には限界があると考えられる。何かを変えないと不可逆的なところまでいってしまう恐れがある。もしそれを改善できるとすれば、「地域社会」という切り口には、社会システムを変え、これまでの効率重視の生活を変え、それらが積み重なることでよりよい世界を変える可能性があるのかもしれない。その道のりは長いものの、本書は一連の問題を改善していくための有望な切り口、思想、事例を多くの人に提示してくれるものだと思う。
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