世間遺産放浪記 |
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普段は何気なく見過ごしている、或いは見る事はあっても大して気にも留めない、そんな建物やオブジェといったものを地方都市では見かける事がある。この本はそんな地域に深く馴染んでしまっているものばかりを取り上げたものだ。 例えば、のぼり旗用の小屋がある。これは愚生の住む町の近くにもあるが、近くの国道をクルマで走っていても気にかけた事が無かった。しかしこの本で改めてその存在を知ると、急に高貴なものに見えてきた。恐らくこの次にこの小屋の近くを通るとその存在を意識せずにはいられないだろう。 最近ブームとなっている産業遺産、或いは世界遺産を見ると先人達の努力の結晶だなとは思う。しかしそれらの歴史の1ページとして残るものばかりがエライのではない。近くにもこうした「いい仕事」をしたものがあるではないか!! 戦後の早い時期に宮本常一が全国を聞き歩いたようでもあり、また現代では都築響一が執念深く日本中の珍景色を記録しようとしているようでもある。 著者は「近代化遺産」とも言われないような、もうすぐ忘れられ、無くなるに違いない日本の地方の職人の優れた手業を写真に収めている。 「近代化で捨ててきたモノを懐古するのではなく、置き忘れられたモノにひそむ物語を知ることで未来を探るのが、世間遺産の方程式」とある通り、ただのノスタルジーではなく、そもそも日本の職人の平均的な技能の高さを、地方の何気ない壁や、廃墟寸前の小屋から読み取ろうとしているようだ。247件の写真に丁寧に付された解説というかコラムもいい。 それを見出す目を私たちが持てなくなっただけで、私たちのすぐ近くにも世間遺産はあるのだ。 世間遺産放浪記を楽天で検索 |