それでも中国は崩壊する (ワックBUNKO) |
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近年、ますます「中国はこれからどうなるか」に関心が強くなり、いままで敬遠していた黄氏の本を一冊読んでみた。いわゆる、「チャイナ・リスク」に関する情報は多いし、説得力もある。カバーのリードからして過激だ。いまの中国を表す言葉は「四最」だ、と言う。具体的には、「人口最多」「資源最小」「欲望最大」「道徳最低」。「世界の工場」として驚異的な経済発展をとげ、「21世紀は中国の時代」という見方があるが、黄氏は当然否定的で、現在の共産党独裁の政権は、過去の王朝の東洋型独裁専制となんら変わらず、「社会主義市場経済」という欺瞞的なシステムのもと、貧富の差の拡大はひどく、開発の名のもと3400万人ものが土地を奪われ、党幹部とその一族、そして、官僚131万人による国の財富の70%を独占とその腐敗・汚職は想像を絶し、さらに、年間、500~600億ドルもの金が「国外脱走」しているそうだ。これは諸外国の中国への投資額とほぼ同じだ。「13億の巨大なマーケット」というのは幻想で、近い将来、地方から破綻が生じると断じている。「北京愛国」「上海出国」「広東売国」という言葉があるそうだが、中国の未来のためには、いわば「中国の分割民営化」=解体救中国しかないし、そうなるだろうとしている。黄氏の個人的願望が強いのだろうが、民主化=共産党独裁に終止符がうたれれば、中国は分割され、連邦国家になるかもしれない、と感じた。他にも、中国経済成長の裏話、弱肉強食の税制、漢民族というものは存在せず、言ってみれば「漢字族」でしかない、など興味深い話が盛りだくさん。中国史の簡易版としても面白い。今後の展望部分は希望的観測の要素が強く、説得力は乏しい。しかし、近い将来、私自身、破綻と混乱の時期が来ることを予感する。昔、ある先生から「中国という国は現在の中国成立以前には歴史的に存在せず、地理的概念にしかすぎない」「名前は変わっても三国志の時代と基本的には変わっていない」とい言葉が思いだされた。 著者は、「秦漢帝国」「随唐帝国」「中華民国・中華人民共和国」から成る三大「中華帝国」史観と言う立場をとっている。さらに、統一よりも分裂している時代の方が庶民は幸福で、文化の開花期にもなっているとのことである。また、尚古主義や徳治主義、華夷主義など発展のマイナス要因となる中国人の思想を指摘し、多民族国家であるにもかかわらず、諸民族の自決や自主を許さない、強固な中央集権により統一を図ることに様々な懸念を示している。そして、中国を分割民営化すること、著者言うところの「数多くの中国」の出現こそ、人類最大の課題だとしている。 多様性を認めずに、10億以上の民をまとめる上での無理が生じてきていることは確かである。しかし、「数多くの中国」が出現するプロセスに関しては何も示されていない。「数多くの中国」になった方が、日本にとっても今のような中国よりずっと付き合いやすくなるとは思うが、そこに至るまでの過程で多大な困難に巻き込まれるかもしれない。いずれにしても中国という国が日本の隣りに存在しているのは、プラスよりもマイナス要因になる可能性が大のような気がしてくる。 本書は、1994年6月出版の「中華帝国の解体」を大幅に加筆・改訂したものである。 巷では、中国の経済発展や将来性が喧伝されているが、それは表面的に過ぎないと著者はいう。 世界史(中国史)が好きで、大学受験用の世界史(中国史)をある程度つき詰めた経験を持つ読者であれば、本書における中国史の俯瞰的記述には、思わず納得であろう。 それでも中国は崩壊する (ワックBUNKO)を楽天で検索 |