バッハ:マタイ受難曲 |
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曲目リスト
古楽器による演奏が主体となった近年に録音された、他の指揮者によるマタイを色々聴いてみた。さすがに音は洗練されているものの、何か肝心なところで盛り上がらないという印象をぬぐえなかった。 もちろん古楽器のせいではなく、指揮者の姿勢の問題だろう。 リヒターのマタイは、確かに古い演奏スタイルかもしれないが、劇的な盛り上がりと緊張感、聞き終えたあとの感動において、やはりずば抜けていると思う。 後半にちりばめられたバスアリアの数々が絶品です。やはりF=ディースカウのうまさは別格で、これを聞いた後ではどのバスを聞いてももの足りません。逆に、バス以外の歌手は、これが最高かといわれると、もっとよいものがあるような気もします。特に有名なペテロの否認のくだりのアルトのアリアなど、私としてはメンゲルベルク版のような粘っこいのが好みです。とはいえ、総合点ではやはりこのリヒター旧版が最高と思います(BCJほかの古楽器によるものは、私にはどうも薄っぺらに聞こえ、好きではありません)。 バッハなんて退屈で古臭い音楽だと思っていた高校生のころ、友人に薦められてこのCDを初めて聴きました。 …圧倒されました。 なんという生命力。 なんという瑞々しさ。 なんという緊張感。 自分のバッハに対する無知、先入観を恥じました。 作曲者、演奏者の厚く実直な信仰心に満ち溢れ、それでいて実に暖かく包容力のある名曲、名演奏です。 音楽を愛するすべての方に聴いていただきたいと思います。 先日、ヘルンスト・ヘフリガーが87歳で亡くなったという新聞記事を見ましたので、不世出のエヴァンゲリストとしての名声を彼が確立したこのリヒターのマタイを真剣に聴き通しました。生真面目な性格が伺える端正な演奏は、第1級の福音史家と言えましょうし、テノールソロでの劇的な表現力は、リヒターの持っているバッハ観に即したものだと思いました。 オルガニストとして著名だったリヒターが、かくも素晴らしい演奏を31歳の時に残したと思うと、その年代で到達したこれだけの高い精神性に驚かされますし、バッハも42歳という一番円熟した時だからこそこれだけの金字塔とも言える大作を残せたのだと思いました。 アリアとレチタティーヴォがマタイの音楽構造の中心をなすように思えますが、コラールを歌うミュンヘン・バッハ合唱団の素直な発声は、この厳しい受難曲にあって聴くものの救いとなっていますし、その美しい旋律と和声はバッハの残した多くの音楽の中でも輝いている作品群だと思います。 キート・エンゲンは豊かで威厳のある声でイエスに相応しいと思ってきましたが、感情移入する際の音程の揺れ幅が少し気になりました。もっともヘフリガー、ゼーフリート、テッパー、エンゲン、フィシャー=ディースカウ、そしてリヒターと皆30代という若い年齢でこれだけの演奏を残したという功績は忘れてはいけないと思います。 わたしなんかがマタイ受難曲を語るなんて非常におこがましいですが(しかもリヒター盤) 書かずにはいられないほどです。リヒターの指揮は今更言うまでもないのですが、凄いです。 それとヘフリガーが凄い。 バッハが書いた受難曲は5曲あったそうだが、現在聞くことができるのは『ヨハネ受難曲』と『マタイ受難曲』の2曲のみである。 『マタイ』は、新約聖書に収められている『マタイ伝福音書』を元にしたオラトリオで、バッハは3年がかりで作曲したという。通して聴くと3時間近くかかる超大作で、本盤は3枚組で収録されている。イエス・キリストの受難劇という宗教的なテーマを扱い、管弦楽に声楽を加えた編成である。規模の大きさ、劇的な構成力、宗教的な精神性の高さにおいて、まさに特筆の作品である。 第1部の開始部分では、キリストが十字架を背負いながら足を引きずって歩くさまが通奏低音で奏でられる。一転して嵐のような激しさに変わり、キリストが捕らえられ、弟子たちが逃げるところまでが描かれる。第2部は、キリストに対する尋問に始まって、キリストの永遠の安息を祈る場面まで。特に後半になると、キリストが処刑されるまでの緊張感がひたひたと迫ってくる。決定版といわれているカール・リヒター指揮の58年盤だ。(新井由己) バッハ:マタイ受難曲を楽天で検索 |