桂 枝雀 落語大全 第四集 [DVD]

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 「饅頭怖い」「替り目」・・・特に後者は古今亭志ん生の18番であり、彼の人生そのものであった。それが、固定観念として染み付いている。だから、東京周辺の江戸前落語から入っている人間にとっては、正直、枝雀師匠のサービス精神旺盛なギャグの連発と過大な振り付けは、特に映像で見直した場合、違和感がある。
 しかし、・・・こういう「替り目」もあるのか・・・という新鮮さと、酔っ払いの表現の豊かさには、やはりうならざるを得ない。すばらしい。

    2005年10月29日 記す


枝雀さんの酔っぱらいは本当にうまい。酔っぱらって犬に説教するシーンは東洋哲学を表象し秀逸ですらある。ましてや女房に関する独白などは、急逝されたことと相まって、面白くも切なさの方が増して心を打つ。枝雀さんの落語は、現代人の孤独と向かい合った悲しいまでの誠実さの具現である。
 枝雀落語大全、第一回シリーズ1集から10集まで見てみての感想ですが、どれか一枚選べと言われれば僕は迷わずこの第3集をお薦めします。誰でも知っている「饅頭こわい」の笑い話に挿入される怪談の怖さや、「替り目」の後半部分で絶妙と言うしかない人情ばなしを語る、簡素ながらも深い優しさ。枝雀最盛期のしゃべりの勢いの良さを味わえるだけでなく、笑いのみに終わらない落語という芸の奥の深さを堪能できるという意味で、この「枝雀落語大全・第4集」は内容が大変充実していると思います。(ちなみに次に好きなのが第3集「宿替え」と「池田の猪買い」。枝雀さんの思い出話で笑いたいなら、これも素晴らしい内容の第2集「くしゃみ講釈」「鷺とり」に収録されている桂ざこばさんのものがお薦めです)

 「第4集」では、個人的には特に「替り目」が好きで、何度見たかよく分からないくらい繰り返し見ています。酒だけが生き甲斐の調子の良い男「トメ」が、彼にあきれかえりながらもかいがいしく連れ添う女房と丁々発止に掛け合うシーン(「なんぞちょっとつまむもんないんかい!」「ちゃびんのフタつまみなはれ」)の面白さと言ったらたまりません。これだけ笑える落語もなかなかない。外で飲んでは吠えた犬に管を巻き、家に帰ったら帰ったで女房に「こうこをさがしてこい」と言って飲み、通りすがりのうどん屋にかんをさせて、いい気分になった主人公のトメが嬉しそうに語る親友の娘の婚儀の話。これが、僕のような若い男が聞いていても思わずジーンとしてしまうくらい、本当にその場面が目に浮かぶとしか言い様のない芸なんです。


枝雀寄席で元気に活躍されていた頃を思い出しました。
枝雀の「饅頭こわい」は凄い。東京の「饅頭こわい」しか知らない人は、ぜひ聴いて(見て)。関西落語の「饅頭こわい」には、町内のおやっさんが若い衆相手に怪談を披露する、という趣向もあるのだけれど、かなり怖いです。枝雀がやると特に怖いし、おかしいね。必見です。「替り目」ももちろん名作ですね(酒呑みの噺。東京では志ん生の持ちネタとして有名かな)。枝雀は酔っ払いをやらせたら天下一品だったよ。みなさん、スビバセンネおじさんって知ってますか?
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