アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記 (公開題「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」) [DVD] |
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小津安二郎の影響だったり、映画マニアにはきっとたまらない一本だと思います。あ、バッハマニアにもね。 ドキュメンタリーっぽく撮ってるから、退屈な面もあるんだけど。 流れてく日常の時間の中で音楽も流れてく。それってとってもすてきだなあ、と思うのです。 名演奏家たちがこぞってコスプレして演技しちゃってるのも、もうひとつの見どころ。 私はクラシック音楽に詳しくありませんので、本作品の音楽映画としての評価については、他のレビューをお読みください。 このDVDは、ニュープリントと謳っている割には画質に少々味があります。鑑賞中にストレスを感じるほどではありませんが、ところどころにノイズが見られます。しかし、本作品の映像表現は、そんなことがまったく気にならないほど優れているのではないかと、私には思われました。 この作品の多くは演奏シーンで占められていますが、1つ1つの曲が演奏されている間、カメラは常に1ヶ所に固定されています。ゆるやかなズームアップが用いられることはありますが、ショットが変わることはありません。ですから、観ているうちに眠くなるという方もいらっしゃるかと思われます。しかしながら、その映像は人物の配置も光線の方向も完璧な、どこから観ても美しいものであると思われました。個人的には、鑑賞中に一時停止のボタンを押し、静止画像にしたくなるほどだったのですが、しかし、その映像はやはり動くことによって、生き生きとした躍動感を獲得するものだと思われます。 2007年3月9日現在、ストローブ=ユイレ監督作品のDVDは5本発売されています。すべての作品を観ましたが、「歌劇 今日から明日へ」に同時収録された16ミリ短編を除けば、いずれもこれより画質が優れていました。本作品をご覧になって他の作品にも興味を持たれた方は、どうぞ安心してお買い求め下さい。 とにかく圧巻の映画です。とにかくバッハがコンサートで弾き倒している映像の羅列だけで、奥さんが鳥瞰的にナレーションします。バッハは演奏の後ろ姿しか映りません。 きっと、いくら映画の好きな人間でも、よほどのことがない限り眠気が何度か来ます。 ここでは、映像とは、映画とは何かという問題が投げかけられている。実はミニマリズムに特化した強烈な主張がなされていて、それにちょっと留意しながら観ると楽しい映画だと思います。 もちろん正攻法で観るのもアリだと思うけど、それだと眠すぎる。 なんというか極めてクールな映画である。 グスタフレオンハルトというと バッハ演奏家としては 屈指の存在だった。そんな彼がかつらをつけてバッハに扮し 延々と演奏を続ける映画と言って良い。映画の持つダイナミズムや飛躍を 真っ向から否定した地点で語られる もう一つの映画のあり方が 映画としての本作の ラディカルさである。 バッハ好きの方には 堪らない一作であるだけではなく 映画としての野心も十分滲んで来る。バッハとレオンハルトの共犯関係の地平線に 本作があるのだ。 最近のなんでもありのDVDを期待すると裏切られる。画像は白黒、音はモノラル。チャプター区切り無し。観客に迎合しない製作者の意図が非常にはっきり出ている。私は硬質の姿勢に共感。かえって小気味よさを感じた。 バッハの忠実な伝記というわけではない(のだろうと思う)し、音楽映画としてももう少し作りようはあるだろうけれど、バッハの生きた時代の空気、音楽職業人としての葛藤などが見られてとても興味深かった。 一歩ひいたアンナ・マグダレーナの、憧憬にも似たバッハへの愛情がバックボーンか。 バッハの好きな人ならば、この映画自体の好悪は別として一度は見て損の無い映画と思う。いまや古楽界の大御所、レオンハルトの若き日の雄姿も見もの。付属の解説書もなかなか読みごたえがある。 これは、レオンハルトやアーノンクールらを中心とする古楽器演奏家たちが、可能な限り厳密に考証された当時の衣装・かつらを着用して、教会や古い家屋の中で演技・演奏する音楽映画である。バッハの2人目の妻として献身的につくしたアンナ・マグダレーナが語り部となることによって、映画全体が一つのバッハ伝記となっている。 バッハの時代とは一体どんな雰囲気だったのだろうか? 人々はどんな生活をし、どのような状況下で音楽は演奏されていたのだろうか? この映画は、それを出来るだけ忠実に視覚的に再現しようとしている。たとえば、数々の荘厳な宗教曲が演奏された教会のオルガン・バルコニーが、すし詰めに近い狭苦しいスペースだったことには驚かされるし、それを敢えて再現するこだわりはおもしろい。1967年製作の白黒映画だが、大変陰翳の美しい映像である。多くの演奏シーンは、編集なしの一発撮り、音楽も同時録音。楽器や声のピッチの乱れがかえって生々しい。一般のレコーディングでは決してOKが出ないようなテイクが、丸々収録されている。そういう意味でも、きわめて珍しい音楽映画といえるだろう。伴奏でも解説でもなく、純粋に「美学的な素材として」(ストローブ)、音楽が扱われている。 それにしても、ここに流れている音楽は素晴らしい。“いびつさ”(正にバロック的)が、この映画には満ちあふれていて、機械のような正確さを志向しがちな現代の演奏とは違った、手工芸品のような音楽体験が味わえ、血の通った人間の営みとしてのバロック音楽を感じさせる。草創期の古楽器演奏家たちの情熱的な演奏も、観る者を釘付けにするに十分な迫力がある。この映画はいまでも、私たちがバッハの時代に想像力を飛翔させるための、大きな助けになるだろう。28ページの解説ブックレットも充実した内容。(林田直樹) アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記 (公開題「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」) [DVD]を楽天で検索 |