ストーカー [DVD] |
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荒筋は他のレビューを見ていただいて、、、。テーマについて書きたいと思います。願いが叶うというゾーンの部屋にあなたは行きますか?僕も最初は行きたいなぁと思っていましたが、もしそれが自分の無意識下の本性を満足させるものだったらどうでしょう?この映画の中で、主人公とは別のストーカーのヤマアラシが、弟をゾーンに案内している途中にその弟を事故で無くし、ヤマアラシは弟を返してほしいという願いを持ってゾーンの部屋に入り、なぜか金持ちになってしまって、自殺したというエピソードが語られています。我々が思う望みとは多分表層的なものであり、現実に自分の身に起こったものに対する現実対処的なものなのかもしれません。例えば、金がないから金が欲しい、テストがあるから受かりたいといった、そういった現実対処的な表層願望と、意識下の本性が望む深層願望は違うものなのだということなのでしょう。だから、主人公のストーカーはゾーンにいろいろな人を案内してきましたが、誰ひとりとして、その部屋に入らないと嘆いています。誰ひとりとして「信用しない。」と。つまり、自分は何なのか?自分の望みは何なのか?自分は何を望んでいないのか?それさえも。自分自身で分からない。自分を信用していないということなのでしょう。僕自身もいろいろな欲望がありますが、深層願望はいったいなんなのか?それが叶ったとして幸せになれるのか?さっぱり分からなくなりました。例えば、金持ちになりたいという願いを持って部屋に入っても、ひょっとしたら自由に空を飛ぶ鳥になっていたりして、、怖いよー。つまり、私自身も自分を信用できなくなったのです。そして幸せとは深層願望を満たすことではなく、たぶん、表層願望を満たそうとしてつまづいたり、近づいたり、日々のご飯を食べたり、家族と語らったりというそんなところにあるのでしょうね。内宇宙を見せてくれるSF傑作ですね。最後のシーンは神秘的でした。ちなみにこの映画はタルコフスキー自身が美術を担当しています。凄い才能ですね。脚本はソラリスと同じスタニワムレムです。 タルコフスキーの映画ほど 多くの人が「眠くなる」ということを公言する映画を僕は寡聞にして知らない。 勿論凡百の眠くなる映画はある。しかし その場合普通眠ったことは 別に言わない。タルコフスキーだけは違う。見た人が皆 胸を張って「私は眠った」と言う。これが異様なことである。 格好つけて言うなら 彼の映画には 人間の無意識下に働きかける「何か」があり 民俗学でいう「入眠現象」に極めて近い体験をするということかと思う。実際 彼の映画でうとうとすると 大変気持ちが良い。そうして それ自体が タルコフスキーの映画体験の一部を構成する。そう言い切っても良いと考える。 「ストーカー」の眠気も折紙つきである。SF映画でこれほど湿気と土の匂いに満ち満ちた映画は他に知らない。見ている我々も雨や草の露でしっぽりと濡れてしまう気がする。主人公たちが追いかけているものは 異星人なのか 神なのかも良く分からない。ラストシーンを見ると やはり神だったのかとも思う。 しかし その間我々は湿気に包まれて しばしば心地よく意識が飛ぶ。目が覚めても 同じ「湿原」にいる。 誠に稀有な映画体験である。ハリウッドの映画がジェットコースターだとしたら 本作は 木陰のハンモックである。しかし 周りの景色の美しさは例えようも無い。 個人的に宝物のような映画。初めて見た時は、この映像の心地よい湿度、空気感に圧倒された。何か特別な物を見ている、それがこの映画の印象。 「2001年宇宙の旅」「ブレードランナー」「ストーカー」どれを取る?と訊かれれば、 「ストーカー」を取る。映像・音楽・セリフ、それぞれに普遍的美学を感じるからだ。 この映画のすごさは、主に3つあると思う。 まず、案内人役を演じた俳優の、特異な風貌が醸し出す独特の雰囲気に圧倒されたこと。 人間の根源的な欲望を実現させるという、「惑星ソラリス」にも類似したテーマを、 タルコフスキーならではの長回しと接写によって対象を凝視し、そこに異化効果のある オブジェないしは映像を重ねることで、多層なイメージを喚起させる画面作りを 行っていること。 そして登場人物たちの小難しい哲学問答につき合わされながら、最後にそんな地上の 小賢しい人間の営みを一気に昇華させる啓示が用意されていること。 思えば、彼の映画には常に、啓示と奇跡が描きこまれている。 この「ストーカー」では、不思議なゾーンの秘密を求めて、延々と3人の旅が 退屈なくらい続き、観客はその時間を共有せざるをえなくなる。しかし、 その時間の長さは、ひたすら忍耐と精神的葛藤を強いられながら、 自らを問いただすために必要な時間でもあるのだ。 そういう意味では、彼の7つの映画作品の中でも、とりわけ怖い映画である。 この映画は、霧、曇、闇、雨そしてかすかな光に満ちている。音は、自然音と 人たちの会話、そしてときおりかぶさる電子音響・・・また、水音、雨、雨・・・。 特に、廃墟にたたずむ3人をカメラが凝視し、したたる水音のみが聞こえてくるシーンが 強く印象に残り、雨音だけの入っているレコードを買って、薄暗くした部屋の中で じっと聴いている時がしばらく続いた・・・生命が消えていくような、それとも 原初回帰していくような・・・不思議な時だった。 大作“アンドレイ・ルブリョフ”のあと、個人的な心象風景を描いた“鏡”を経て、タルコフスキーは物語というよりは寓話的な作品群に没入していきます。 この作品は、そこに行けばどんな望みもかなうという奇跡の場所、“ゾーン”の中の小部屋を目指す三人の男たちの話。 それぞれの“何か”を求めて前進していく男たちが行き着いたその先はー。 こういった寓話を映像化するのは難しいと思います。現実そのままの場所を使ってしまったら世界観がぶち壊しになるし、かといって、あまりにもSFチックな人工セットでは作品の持っている深刻な主題が軽いものになってしまいます。 タルコフスキーはそのどちらにも傾かず、ありのままの自然や街、廃墟を使いつつも、それらがどこか非日常的な光景になるように、映像と音にありとあらゆる創造力を駆使して、それを見事に成功させています。 人間の持っている願望とその葛藤、という目に見えない主題を描くために、日常と非日常のぎりぎりはざかいのところにあるビジュアル空間を作り出すー、これは簡単なようでいてその実天才的なひらめきだと思います。 そんなマニアックな技術論はさておき、これはホントに万人共通の問題をテーマにした、幻惑的に美しい現代の寓話です。 必見です。 ロシア映画の巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督が、アルカージー&ボリス・ストルガツキーの原作を基に描く観念的SF映画。“ゾーン”と呼ばれる立ち入り禁止空間。その奥にはすべての望みを叶える部屋があるという。作家(アナトーリ・ソロニーツィン)と物理学者(ニコライ・グリニコ)は、ゾーンの案内人“ストーカー”(アレクサンドル・カイダノフスキー)に導かれ、ゾーンに侵入するが…。 具体的なドラマよりも、水や火などを映像記号とした抽象的描写で押し通すタルコフスキー監督独自の静謐なタッチ。それは難解で、時に心地よい眠気すら誘うが、タルコフスキー映画を観ながら眠るのは、映画ファンにとって例外的に許された幸福でもあり、そうしたまどろみの中から観る者は神秘的かつ詩的、しかも厳とした映像哲学を必ずや体感することになるだろう。映画ファンを自認する者ならは、一度はチャレンジすべき作品である。(的田也寸志) ストーカー [DVD]を楽天で検索 |