エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版 |
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不正な会計手法で、将来の利益を見積もりボーナスを払う。誰も手を出さなかったイン(ダホール)に施設を作り、予想利益を計上した。実際にこの施設が使われることはなかった。電力自由化をカリフォルニアの州政府に認めさせた後、計画停電で電力の相場を高騰させ、高値で売る…。エンロンだけではなく、大手銀行、会計事務所までもが関与し、それぞれ有罪判決を受けている。 ドキュメンタリーとしてアカデミー賞候補にもなったというこの作品を見ると、強欲は知らないうちに人間を支配してしまうと感じられる。平気な顔をし、笑顔で自社株を買いましょうと社員に訴えかけていながら、影で自社株を大量に売り抜ける同社CEO(問題が発覚する少し前に突然の辞職)スキリング氏、ケン・レイ氏などの映像は悪魔を見ていると錯覚させられるようだった。 経済はアメリカがすごい、と思っていたがこんな映像を見てしまうと日本の会社の方が総合的に見て優れていると思えてくる。もちろん、実態はどっちもどっちだし、どちらの社会にもエンロンと違い優れた会社はあるだろうけれど。 映画は2006年11月18日リリース。原作は「The Smartest Guys in the Room」。売上高13兆円、全米第7位の巨大企業がいかに嘘の塊であったかを見事に再現している。 考えてみればまもなく日本でも導入されるSOX法が必要となった原因は、このエンロンが発端だ。そのエンロンがいかに『構成されていたか』を知ることはとても意味があることだ。アメリカの経済アナリストがいかにきちんと検証せずに、企業から発せられる計画を鵜呑みにして、その会社を論じているか、いかに不安定な足場の上で経済が動いているかが実感できる。特に監査法人の面々には必須のドキュメンタリーだろう。 こうなった原因のかなりのウエイトは時価会計制度にあると僕は思う。エンロンの立てた嘘八百の計画ははるか先のものでも、時価として今期に反映される。主演の3名、ケン・レイ(元CEO) ジェフ・スキリング(元CEO) アンディ・ファストウ(元CFO) は、時にカリフォルニアの電力を止めてまで嘘を貫いた。そしてその後ろには常にブッシュの姿がちらつく。この嘘を見破ったフォチューン誌の女性記者に拍手。全米有数の会計事務所であったアーサー・アンダーセンや顧問法律事務所も加担した数々の違法スレスレのプロジェクトの遂行や粉飾決算は、ただ保身に走る虚栄の金亡者の所業として大変参考になった。 アメリカンドリームというのは桁が違う。エネルギー相場なるシステムで、エンロンは全米有数の企業に上り詰めた。昔日本にも生糸市場というのがあり、やはり「相場」という目に見えない価値を決めていたが、こちらは渋沢栄一や原善三郎、茂木惣兵衛らが興した「実業」が基本になっている。しかしエンロンはどうだろう。エネルギーなるものも「虚像」であり、全くのサイバービジネスだった。だから政府と結託してカリフォルニアの電気危機などもねつ造できる。しかしアメリカという国は問題も多いが、懐も深い。現役の大統領を捕まえて、ねつ造の加担者です、と映像化してしまうところはなかなかのものである。日本ではこうはいかないだろう。万が一同類のドキュメンタリーが制作されても、どこも配給しないし、日本アカデミー賞がノミネートすることもない。そういう点ではうらやましい作品である。 人間は性善か性悪かという哲学論争はともかくとして、人は、ルールの あり方次第で、どんな方向にも走り出してしまうということを示した 好事例。 多額の政治資金献金をもとにした強力なロビー活動によって米国カリ フォルニア州の電力の民営化を実現させ、買収によって発電所を次々と 傘下におさめ、発電を恣意的に規制することによって先物取引で多額の 収益をあげる一方で、被った損失については当時の会計ルールの網目を くぐって連結対象外の子会社に巧妙に飛ばす等々。。。 手段を問わず、とにかく収益と株価を確保・維持する。そして、そこに 一致した利害を持つエンロンの役職員、投資家、アナリスト、会計士、 弁護士、金融機関が「モラルハザードの連鎖」を組んでいく。。。 この図式は、80年代の日本の不動産バブルや、90年代の米国の企業買収 バブル、そして、恐らく現在の米国のサブプライム住宅ローンバブルと 同じもの。 やはり、人間はルールに隙があればどこまでもモラルハザードを起こして しまいかねない存在だなと改めて感じました。 作品中で引用されていた、人がルールや権威に如何に弱いかを示した 米国における60年代の臨床実験がとても印象的でした。 売上高13兆円の誰もが賞賛すべき会社、エンロン。 Ask Why ? (常になぜかを考えろ) 我々は変化を好む社員を求めています。 斬新でユニークなアイデアを常に求めています。 などなど、どれも「良い」企業が掲げそうなスローガンばかりだ。 このエンロンが、 粉飾決済をはじめとする不正処理に恒常的に手を染め、 雪だるま式に膨れ上がり虚像が形成される経緯、 そしてそれが崩壊する様を、 本人の出演や裁判の様子を通して視聴者に知らしめるドキュメンタリー映画。 正直、この事件の真相についてほとんど知らなかっただけに、単純に勉強になった。 やはり、史実をまず大まかに理解するには映像メディアが最適だと再確認した。 内容は、Wikipediaにあるようなこととあまり変わりない。 しかし映像メディアを通すと、 その不正の本質が、人間に巣食う「魔物」であることがわかる。 この「魔物」とは、「お金儲け」といったものもあるだろうが、 より根本的には、 「周囲への自分」と「本当の自分」を一致させたいといった気持ちだ。 「黒字を出します」 「高い目標を達成します」 「次々に新しい事業を生み出しています」 周囲へ先に宣言すると、 それをなんとか達成するしかなくなる。 無能だと思われたくないから。 この気持ちは、 うまく使うと自分の成長速度を速めるといった良い面を生み出すが、 目標を達成できなそうなときに、無理やりそれに一致させようとすると倫理観が薄れ、 不正に手を染めやすい。 不正に手を染めず、 高い目標を達成していくことの難しさと重要性を再認識した。 これって日本のライブドア事件と一緒!? と思わせる、リアル感満点のドキュメンタリー。売上高で世界第16位にまでなったエネルギー卸会社「エンロン」が、突然の倒産。その裏では、何年にも渡って粉飾決算が行われ、巨大な利益を上げるため、カリフォルニアで故意に大停電を発生させるなど、信じがたい不正があったことが発覚する。内容は一見、社会派で難しそうなのだが、誰にも分かるスリリングなエンタテインメントになっており、アカデミー賞候補になったのも納得の一本だ。 巨大企業の裏側も興味深いが、本作がフォーカスを当てるのは、上層部がみせる人間の本質。道徳的にはどう考えても悪いことをしているのだが、会社の利益を落とさないという名目があるので、本人たちは一切自覚ナシ。もし自分が同じ立場になっていたら…と思わせてしまうのも、本作の怖さだ。その他、内部告発するスタッフ、解雇されて困り果てる社員など、登場するすべての人物が会社倒産までの実態をスキャンダラスに盛り上げていき、最後まで目が離せないおもしろさ。(斉藤博昭) エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版を楽天で検索 |