ルックアウト/見張り |
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頻繁にメモを取る主人公。メメントの主人公を思い浮かべた。 しかし作り手の、主眼が全く異なっていた。 メメントでは主人公よりも「乱れる時間」が見所だったが、こちらは「主人公の心」が主題。 自分で起こした交通事故が全ての始まり。後遺症のせいで思うように行かない自分、ふがいない自分の怒りは、自らに向けるしかない。ごく当たり前に同情させられる。 交通違反切符をはじめ、大事件に大きく関わったにもかかわらず、社会的責任能力なしと判断され「許される」彼の複雑な思いが、顔のアップで語られていた。ラストシーンに安易に「良かったね」と言う言葉は出ない。 特典解説で主人公が背負ったある病名が出た。何とも複雑な思いが残った。「きっと面白いストーリーになると思った」という解説にも、大きく引っ掛かるものがある。具体的病名を出した瞬間、物語の普遍性は、なくなった。そして後味の悪さが残った。 自らが招いてしまった交通事故の後遺症により短時間しか記憶が保てないクリス。リアルさを排除したような静かで淡々とすすんでいき、全体像がとてもしっかりしているのでわかりやすくひたすら引き込まれていく感覚。脚本がしっかりしているのと事故シーンや銃撃シーンがあるのに、見ていて不愉快な感情が全く動かない。言葉のひとつひとつにとても重みがあり、日本語吹き替えと字幕では言葉の表現が全く異なることに気づきました。この手の類は描写がしっかりしていないと全く記憶にも残らない後味の悪い状態で終わってるはずなのに、心地が良かったです。特典映像はかなりの見もので、制作の現場や役作り、更には音声解説まで挿入されています。 この映画をコヤにかけるか否かと言うと「無理だろね」と言わざるを得ない。銀行強盗ものとしてのド迫力の見せ場や派手さはないし、大スターが主演を張っている映画でもない。宣伝に苦労するのが目に見えている。 ただ、新鮮な作品である事も事実だ。主人公の生き様は決して共感を覚えるものではないだろう。彼が映画の始めに起こす事件はまさに彼の生き様の象徴だ。何かを求めて大切なものを見失う。強盗計画への参加もそういう生き方の果てにあるもので、そこで生死を賭けた死闘に巻き込まれる事で自分を見つめ直さざるを得なくなる。犯罪映画の体裁はとってはいるものの、その実が青春映画であるところが面白い。ジェフ・ダニエルズが主人公の友人として好演している。彼がいう「結論から考えろ」が思わぬ形で大きな意味をなしてゆくさまがこの作品の大きなヤマになってゆくところに、さすがスコット・フランク、脚本家あがりだなと見ててニヤリとしてしまう。 ルックアウト/見張りを楽天で検索 |