Dub Orbits |
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曲目リスト
いい音楽です。 ベースは、ひらかれていてとっつきやすい普通のジャズ。 そこに施されたダブ処理も適度で、BGMとしても邪魔にならない。 そういう意味では、「大衆的」です。 ある程度、誰にでもオススメできます。 逆に言えば、この人の作品はすべてそうですが、 本人が見せようとしている本人のキャラクターや思惑ほどには、 作る音楽が尖ってない。物足りなさがあります。 ソロ作にしても、戦略も戦術も、豊富な引き出しの中身を駆使しているのに、 結局、組み合わせが珍しいだけの普通のジャズになっている。 音楽としての驚きがない。 強調しておきますが、いい音楽であり、いいジャズです。 先入観なくこれを聴いて、 訳がわからないという人も、いけ好かないという人も、おそらくいないはずです。 好意を抱く人がほとんどでしょう。 ただ、多少なりとも菊池氏本人の言動や活動を知っていれば、 この間口の広さが意図されたものなのかどうか、気にはなります。 「感動や信用は甘い菓子だからあまり食うな」という本人の音楽が、いつも、 きわめて上質だが食べやすい菓子のようだ、と言ったら言いすぎでしょうか。 それからマイルスリスペクトは、サイズ違いの服を着ているようです。 マイルスを再帰的に扱っている限り、 マイルス最大の魅力である「内圧の高さ」は立ち上がらないので、 上手いですが表層を消費してる印象がぬぐえません。 そろそろ、菊池氏本人が、「発明」に挑む時期ではないでしょうか。 どことは申しませんが、日本側の企画と資金で、向こうのミュージシャンにスタンダードを甘ったるく演奏させたアルバムには、「ジャズをなめるな! ムードミュージックじゃないぞ!」と怒りを覚えます。そんなところに、菊地成孔ダブ・セクステットの新作が届きました。甘さのない、しかもスタイリッシュでクールな、同時に志のあるアルバムだと思います。現在、この夏のヘビーローテーションミュージックになっています。 甘さがなくスタイリッシュでクールといえば、マイルスのセカンド・クインテットです。マイルスがファンクに行かず、このクインテットのフォーマットのままで、ダブミュージックやヒップホップに遭遇していたら、というコンセプトがダブ・セクステットの背景にありますが、今回は実際にマイルスが演奏した曲のカヴァーも含まれています。また、「Monkey Mush Down」などは、アコースティック版「オン・ザ・コーナー」とでも言うべきユニークなアプローチです。前作以上に充実した内容で、方向性も明確になってきたこの「DUB ORBITS」、ムードミュージック的「ジャズ」に物足りなさを感じている方に、ご一聴をお勧めします。 凄いな。ひとことで言って、様々な要素がけたたましく混在連動し、インプロビゼーションされているアルバム。誰も聴いた事がなく、それでいて既視感(安穏感)を感じさせるアルバム。いきなり、テナー吹きっぱなし、ハード・バップでひたすらファンキーに決めれば、一転、幾何学的なエレクトリック音が提示され、いつしかヒーリングの世界へと誘われる。 これ、例えが唐突だけど、フィルム・ノワールであったり、ハードボイルドであったり、アバンギャルドなSFであったり、スラップスティックであったり、倦怠期を迎えたカップルの恋愛劇であったり、と、まるで楽曲それぞれが、あらゆるジャンルの映画をモチーフにしたサウンドトラック・アルバムとして成り立っているような、サウンド自体がダイナミックに脈動し、ドラマツルギーをスリリングに発散させているようなイメージ。 超クールで奔放な媚薬のごとき出来栄え、今夏イチ押しのクール感(冷涼感)を与えてくれる1枚。 菊地成孔は、このバンドを"歌舞伎町のホスト・クラブ"と呼んでいるらしいが、こんなにホットで知的なホストたちがいるなら、男のオレでもはまってしまうな(笑)。 Dub Orbitsを楽天で検索 |